兄妹二世代家族-9
５．妊娠
あれから半年が経った。
心の垣根を取り去った俺たちは、その後も何度も交わった。
あの時のように４人でするときもあるが、たいていは２人きりで会って交合した。俺と真知子、栄治と明美、そして栄治と真知子、俺と明美…。仕事中に明美を呼び出し、ふたりでラブホテルに入ったことも何度かある。
今、真知子も明美も妊娠している。
偶然同じ時期に孕んだようで、まだ目立った腹はしていないが、ふたりとも３ヶ月目である。出産予定日も１週間の違いしかない。
もちろん、どちらも俺の子なのか栄治の子なのかは分からない。それでもふたりは産むつもりだ。ふたりに悩んだ様子や迷った様子はまったくない。
若い明美はともかくとして、真知子がこの歳でまた妊娠するとは思わなかった。真知子自身も驚いている。
明美は高校をやめるしかあるまい。近所の手前もあるので都会に引っ越すことも考える必要がある。
ただ、幸い、結婚をしていない女性が子どもを産んでも、さほど世間的な問題にはならない。昔と違って、私生児やシングルマザーが増えている時代なのだ。
しかし、神様がいたら絶対に俺たちは許されないだろう。
…いや、そうでもないか。
神が万物の創造主ならば、神のルールに反することは物理的にできないようにするはずだ。だから、近親相姦がタブー（禁忌）というのは、単に人間がそう決めているだけで、神はそこにはきっと関知していない。そもそも人間の世界がアダムとイブから始まっているのだとすれば、子孫を増やすためには近親相姦を繰り返すしかなかったはずではないか。
それに、昔は血筋を残すために、王族では、兄妹や姉弟、親子の結婚も普通にあったという話である。別に俺たちは王族ではないが、そうしたＤＮＡがたまたま俺たちの血の中に蘇ったのかも知れない。そういえば妹という文字…日本でも万葉の時代は、愛する女性を「妹背」と表現していたのだ。
こうしてみると、兄が実の妹を愛し、子を孕ませることが罪悪であると決めつける根拠はない。
…とまあ、こんなことを考えること自体、後ろめたさがまだ俺の中にあるという証拠かも知れないが。
＜あとがき＞
今回で、真知子（実妹・本名）を登場させた「兄妹相姦」ストーリーの全１０話が完結した。
妹に対する飽くなき想いを、現実にあったエピソード（事実）と妄想を織り交ぜながら小説の形にしてみた。
あとがきとして、私（筆者）自身が「近親相姦」についてどう考えているかを最後に書いてみたい。
結論を先に言うと、「Ordinary（普通）」ではないが、「Abnormal（異常）」でもないと思っている。
正直、私にも自分の性癖（実妹に対する相姦願望）を隠す気持ちがある。それは、世間常識的にはタブー（禁忌）であることを知っているからだ。「近親相姦」を毛嫌いしたり気持ち悪く思う人たちも大勢いる。
だが、本文の中でも触れているように、神話の世界ではありふれた話であるし、人間世界でも東西を問わず、血筋を重視する王族・貴族階級などにおいては、ある意味普遍的な男女関係であったことが知られている。
現在の統計数字でも、そういう（近親相姦的な）関係を経験する人が、どうやら全体の５％程度はいるらしいことがどこかの文献に書かれていた。５％というのは、世の中に２０人の内ひとりは存在するということである。考えてみれば、これは大きな数値である。
私は流行の「多様性」というキーワードを使ってこんな仮説を立てている。
まず、近親相姦によって血が濃くなる（凝縮する）のは、普通に考えて「多様性」には逆行する。だが、もう一次元高いところから見た場合、血が薄くなる（拡散する）ばかりでも、やはり「多様性」とはいえないのだ。「拡散」と「凝縮」とが、ある割合でバランスがとれてはじめて「多様性」が実現される。エントロピーと負のエントロピーの関係と同じである。
だから近親相姦は普通ではないが（さほど）異常でもないという結論なのだ。
そして、このことはたぶんDNAに組み込まれている。だから同じ遺伝子を持つ兄妹（や姉弟）が、ある割合でお互いに引き寄せられるのは当然だともいえる。
親がまだ何も分からない子どもを犯すのは「虐待」（近親姦）であるが、兄と妹が合意の上でするのは「相姦」であり、そこには必ず相思相愛の情が伴っている。そして、血が呼び合うのだから実の兄妹であるのが自然であり、性器が結合して兄の精液が妹の子宮の中に注ぎ込まれるのは必然なのである。なおかつ、そのときにふたりが得る快感の度合いは、（生物学的に見て）希少なケースであるがゆえに、通常の性行為よりも強いはずである。
私の書いたものは、すべてそうした原則の上に成り立っている。