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『武骨くんと鎖骨ちゃん』
【フェチ/マニア 官能小説】

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『武骨くんと鎖骨ちゃん』-3

すでに練習が始まっている。
丁度良い木陰に飲み物をセットすると、サナの話題はまた"恋バナ"になった。
ミーハー心丸出しで、李湖に話しかけてくる。

「ね、ね、李湖はぁ、一年生の中では、誰が一番カッコイイと思う〜?」

「わぁ、李湖、見て、○○くん、足速ぁい!」

「きゃ〜××先輩、がんばってぇ〜」

などなど…。
サナは、短時間のうちに、ほぼ全てのオトコの名を出したんじゃなかろうか。
李湖もつられて、"そういう目"でグラウンド上を眺めてしまう。

…―あ。

李湖の目に、洸太郎が映った。

オトコ達は、汗びっしょりになって、髪から雫を垂らしている。
なかでも洸太郎の髪は、お陽さまの下で輝いていた。

「ん?李湖、誰見てんのぉ?
…あぁ、小沢?
うん、小沢もいいよね!
なにげに優しいしね!」

「うん…小沢くんて、地毛が茶色いんだね。」

「すごいね、李湖、わかるの!?」

「私、姉が美容師で、髪にはうるさいんだ。
陽に当たると、染めてない髪は光り方が違うんだって」

「へー、じゃ、あたしもダメだぁ、めっちゃ染めてるもんね、今!」

にゃははぁ〜、とおかしな笑い方をすると、サナはまた"物色"を開始した。

李湖は、洸太郎から目を離せないでいた。
そこそこ背の高い洸太郎は、ゲームで重要なポジションを任されているうちの1人だ。
しなやかに動く身体。
地を蹴る逞しい脚。
相手を見据える強い瞳。
球を操る指先。

…―わぁ、コントロール良い!
…小沢くんて、すごい器用なのかも。
…ちょっと無愛想だけど。

―ピーッ!

コーチとして参加しているOBが、ホイッスルで休憩の合図をした。
マネージャーがタオルや飲み物を配る。

「…ども」

そう、洸太郎をよく知らない人は、彼を誤解してしまう。
口数が少なく、低い声。

…う、やっぱ、無愛想だ、小沢くん。

と、李湖が感じてしまうほどに。



陽が暮れて、互いの顔も見えにくくなった頃。
やっと合宿一日目の練習が切り上げられた。

「さぁ〜、メシ食って、風呂入って、酒盛りだぁ〜!!」

…これを言ったのは。

「んもー、サナちゃんたら豪快なんだから!」

「にゃはははぁ〜!」

…と、また例のおかしな笑い声で誤魔化すサナであった。


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