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銀色の聖女
【ファンタジー 官能小説】

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銀色の聖女-3

「次は?次はどうするの!」
泉まで辿り着いたアンティータムは半ば自棄になった様に叫んだ。
さっきまで心を占めていた絶望や悲しみは嘘の様に消えていた。
ただ姿なき声に対する恐怖は依然残っていた。
姿なき声なんて常識的には考えられない…恐怖を感じて当然と言えば当然だった。
しかし、みんなを元に戻したい。
その気持ちだけがアンティータムを突き動かしていた。
〈よし…泉の前で服を脱げ〉
「なっ!」
アンティータムの顔がみるみる赤く染まる。
裸になれ…。
純潔を守る為なら命を差し出す者もいる時代。
年頃の娘にとってはある意味死刑に等しい宣告だった。
〈どうした?みんなを元に戻したくないのか〉
姿なき声はただ問いかける様に言ってきた。
その言葉には恫喝も駆け引きも感じられない。
「わかったわよ!」
アンティータムは完全に自棄になった。
エプロン、木綿のドレス、そしてペチコートまで脱ぎ捨てるアンティータム。
自棄になった娘は思いの他逞しかった。
小ぶりだが張りがある乳房、ほっそりと括れた胴回り、黒く艶やかな陰毛。
全裸になったアンティータムはその均整の取れた美しい肢体を曝け出して仁王立ちになった。
〈それじゃあ…抱かしてもうらぞ〉
姿なき声は静かに言った。
言っている事は酷いのに不思議とその酷さを感じさせない声だった。
陵辱…そう言ったものとは次元が違う様な気がしていた。
「い…いいわよ…」
それでも依然恐怖はある…ただ耐え切れる。
そう思える恐怖だった。
そしてアンティータムは瞳を閉じた。
アンティータムの裸体の周りで風が渦巻く。
黒々としたアンティータムの長髪が風にたなびく。
風がアンティータムの身体を愛撫している。
そんな感じであった。
その証拠にアンティータムの眉間には皺がより、明らかに快感を押し殺している様だった。
そして風の触れる乳房の先が硬く尖ってきた。
風が巻きつく股の間が熱く潤み、熱い体液を滴らせ始めた。
「あぁぁぁ…」
アンティータムはしなやか肢体をくねらせて身悶える。
むろん処女であったアンティータムに取っては初めての経験だった。
ただミリーから聞いた男性に抱かれる時の感覚。
それと同じモノがアンティータムの身体を支配している様であった。
「くっあぁぁぁぁぁ!」
そして、それはアンティータムが今までの人生において感じ事のない悦楽を彼女の身体にもたらしていた。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
見えないモノのもたらす快感に仰け反る様にして身を委ねるアンティータム。
まるでその体勢のまま宙に浮いている様な不思議な感覚だった。
「あくっ!」
そして…股の間に熱いモノが入り込んでくる。
その瞬間。
アンティータムの脳の中に色々なモノがビジョンとして流れ込んできた。
村の空中にできた歪み。
その歪みから吹き込む黒い風。
石化してゆく村の人々。
姿なき声の正体。
自分が為すべき事。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
全身を貫く稲妻の様な快感にアンティータムは昇天した。

…………。
〈さあ…起きなさい〉
地面に倒れ込んでいたアンティータムは姿なき声に促されゆっくりと起き上がった。
ついさっきまでの黒髪は眩いばかり銀色に変わっていた。
〈今のお前なら歪みを塞ぐ事も容易だ〉
アンティータムがゆっくりと瞳を開いた。
髪と同じ銀色の瞳。
アンティータムは姿なき声に優しく笑いかけるとしっかりとした足取りで村に向けて歩きだした。


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