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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-19

 ――そういや克也先輩は……。
 あの夜のことを思い出す。
 克也は二次会に参加し、つまらない話題で場を白けさせた。
 その後は特に思い当たることも無い。良子を送っていくことをさつきからも頼まれ、その後は……?
「なんか、あったんすか? 船岡先輩こそ」
 守勢に回るよりはと攻勢をしかける武彦。ミラーに移る克也は驚いた様子でいたが、頷いてから口を開く。
「良子とは前に少しな」
「なんかあったんですか?」
「ああ、元彼ってやつだよ」
「え!?」
 思いがけない言葉にアクセルを踏む足が強くなる。
 前を走るトラックとの車間距離が狭まり、今度は慌てて減速する。
「おいおい、安全運転で頼むぞ?」
「あぁ、はい、すみません……」
 二重の意味での謝罪の言葉。だが、気付いてみれば克也は既に元恋人でしかない。たとえ武彦が良子と一夜を過ごしたとしても、彼に責められるいわれはない。それに、今は克也がさつきにちょっかいをかけてきているのだと、武彦は思い至る。
「そうだったんですか……」
「アイツ、酒癖が悪くてな」
「はぁ、わかります」
「サークルの飲み会とかで、いっつも悪酔いするんだよ。強いし、二日酔いとか無いみたいだし、絡まれた奴はお気の毒って奴だな」
 懐かしむように目を細める克也。
「そうだったんですか。でも、なんで……」
 別れたのか?
 そう言いかけて止めた。たとえ「ウザイ」存在であっても先輩は先輩なのだ。
「酔った勢いで他の男と浮気。ま、俺もケツの穴が小さいから、それっきりってわけだ」
「はぁ、そうなんすか……」
 あっけらかんとして話す彼に、武彦は複雑な気持ちになる。自分もまさにその一人なわけであり、もしこれがさつきに知られたら、その時は立場こそ違えど、彼と同じことになるわけだ。
「三島も安易なことはするなよ」
「はぁ、気をつけます」
 武彦からすれば、とき既に遅しとしかいえない助言。ありがた迷惑とも感じてしまう。
「先輩はさつきのこと、どう思っているんですか?」
「ああ、そうだな。気になる後輩の一人ってとこだ。もちろん、お前を含めてな」
 にやりと笑う彼の本心はおそらく……。
「俺ももう寝る。どうせナビなんて必要ないんだろ? 着いたら起こしてくれ」
 そう言うと克也は武彦に背を向け腕組をして目を瞑る。
 助手席からのナビなど不用と知っていて、あえて座った。そして、彼氏彼女の関係にある後輩二人を気になると笑う態度。
 ――こいつ、やっぱりさつきのこと……。
 自然とハンドルを握る力が強くなる。
 やきもきした気持ちは、まるで前を走るトラックとの車間距離に似た、着かず離れずの気持ち悪さがあった。


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