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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-18

**――**

 八月の第一週、月曜日の深夜零時、大城大学アウトドアサークルの夏合宿が始まった。まだ明かりが見える歓楽街を背に、部員達はがやがやと集まってくる。
 合宿といっても実際は小旅行。二年の部員が計画を立て、夏休みを楽しもうというものだ。もちろん大学への活動報告の提出義務もあるが、小難しい定型句を並べる程度で良しとされている。
 計画のほとんどは紀一が行っており、食材の確保はさつきの仕事で、武彦はというとレンタカーの手配と運転ぐらいだった。
 中型車二台に部員を押し込み、荷物は小型車に乗せる。カーナビ標準搭載なので、はぐれても道に迷う心配もない。
「ねぇ、武彦……」
 武彦が荷物を積み込んでいると、さつきが小声で話しかけてくる。その眉間に皺がよっており、言いにくそうにある人を見ている。
「ん? なに、さつき」
「船岡先輩……、なんか付きまとってきてこまるんだけど、なんとかならない?」
 視線の先には克也の姿がある。彼は三年の部員と何か話しているようだが、車に乗るそぶりがない。
 前期試験の頃、彼がさつきに言い寄っていたのは武彦も知るところ。今も何かとさつきのほうを見ては視線を不自然にそらしているのがわかり、武彦としても気分がよくない。
「わかった。それじゃあ船岡先輩には俺の車のほうに乗ってもらうから、さつきは紀一の方に乗ってくれ」
「そう? わかった、そうする」
 本当は一緒がよかったが、自分は運転手であり、いちゃつく暇もない。むしろ背後でさつきが克也にしつこく言い寄られることを聞いているほうが、彼にとっても腹立たしい。
「船岡先輩、ちょっとお願いがあるんですけど、一号車の助手席でナビお願いできますか?」
 武彦は克也のほうへ走ると、自分が運転する一号車の助手席へ彼を誘導し、さつきにウインクをする。彼女もそれを合図に車に乗り込んだ……。

**――**

 出発して二時間が過ぎる頃、部員の大半は熟睡モードに入る。
 最初こそ期待に沸き立っていたが、代わり映えしない高速の風景と眠気に襲われ、一人、また一人と脱落していった。
「ラジオとか聞かないのか?」
 助手席に座っていた克也は、頬杖をつきながら呟いた。
「皆寝てますし……」
 武彦の睡魔を心配してというよりは、彼自身、退屈を紛らわせたいだけだろう。落胆した様子で小さくため息を吐き、窓の外に向き直る。
 ナビを頼んだものの、高速を出るまでは一本道のようなもの。助手席に座る彼が暇になるのも当然だろう。
「そうだ、真柴のことなんだが……」
「さつきがどうかしましたか?」
 苗字とはいえ、呼び捨てにされるのはむっとする。自然と荒くなる語気を武彦は隠そうとしなかった。
「最近はうまくやっているのか?」
「俺とさつきのことは、先輩に関係ないっす」
 事実そうであり、武彦はぶっきらぼうに答える。
「ああ、すまん。そうだな、聞き方が悪かったな」
 克也は武彦を横目で見ると、軽く手で詫びをする。
「良子……、竹川とはなんかあったか?」
「え?」
 一瞬どきりとする。
 ハンドルを握る手の位置を変えると、うっすらと汗が滲む。ずっと握っていたからのはずなのだが、それが油汗に思えてならない。
「いや、さっきはあんまり話してなかったみたいだから、気になってさ」
「別に、竹川先輩と話すことはとくに無いですよ」
 普段の武彦なら二、三言会話もあったかもしれない。だが、あの一夜のせいで気まずく、また不用意な発言をされても困ると、ボロが出る前に近寄らないようにしている。


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