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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-17

「あ、その……、えと……」
 さつきはしどろもどろになりながら、夏雄のほうをちらりと見る。
「いや、まぁ、なんだ……その、武彦は女の子の日って知ってるか?」
「女の子の日? ひな祭りですか?」
「バカ! 一ヶ月に一回あるの!」
「ああ、でも、ナプキンって……」
 オシメのようなものを想像する武彦だが、さつきはさらに険しい顔になって叫ぶ。
「タンポンってのもあるの!」
「……ご、ごめん。悪かった。いや、全然気付かなかったよ……」
 武彦はようやく合点がいったとなり、おでこを床にこすり付け始める。
「もう、これだからデリカシーの無い男は……」
「いや、ほんと気付きませんでした」
 おでこを擦りつけ、何度も「ごめんなさい」を繰り返す武彦に、さつきもようやく「次から気をつけて」ととりなす。
「まぁま、そういうことも長く生きてれば何度かあるさ。ほら、武彦、お茶いれて」
「あ、はい……」
 気を取り直してお茶を注ぐと、さつきも袋からいくつかお菓子を取り出し、テーブルに並べる。
「まあなんだ、おやつの時間には早いけど……」
 三人は「いただきます」と言うと、ぼりぼりと始める。
「んで、さつきなんでいるの?」
 再び始まる武彦の質問に、さつきはふうとため息を漏らす。
「あたしがここにいたら問題? あたしだってここの部員なんだし、訳もなくいたっていいでしょ? それとも、あたしがここに来るときは武彦に必ず断りを入れないといけないの?」
 強いまなざしで睨まれると何も言えなくなる。それは怖さもあるが、見とれるところもある。特に最近化粧っ気の出てきたせいか、目元など鋭さが薄れ、優しいカーブを描くようになっている。丁寧に磨かれた爪はマニキュアこそ塗っていないものの、光沢とラメが見える。リップもこれまでは薬用のみだったのが、今はうっすらと人工的なルージュが引かれている。
「いや、別に……」
 よく考えてみればここは大学の部室棟。暇を潰すためにやってくる者もいるわけで、特にさつきだからといって、理由を問いただすこともない。
「すまん。なんか変だな。最近の俺は……」
 武彦は再度頭を下げるので、さつきも慌てて弁解する。
「あ、べつにそういう意味じゃ……。ほら、もう謝るのはおしまいね。ね?」
 武彦が見上げると、そこには優しい笑顔で微笑むさつきがいる。思わず抱きしめたくなるが、ギャラリーが一人いるのでなんとか堪える。
「わはは、まぁ三島がやきもち焼きたくなるのもわかるぞ。さつきちゃんは綺麗だし、一人で歩いてたら声かけてくる奴もいるだろうしな」
「もう、からかわないでください!」
 夏雄のとりなしにさつきは真っ赤になって言い返す。武彦もようやく自分の中にあった感情が理解でき、ほっとするなり、情けなくなりで忙しい。
「ああ、なんかちょっと頭冷やしてくる。そんじゃ、失礼します……」
 最後にいたたまれない気持ちになった武彦は、過去問をリュックにしまうと、夏雄に一礼して立ち上がる。
「え、もう帰るの? それじゃああたしも帰ろっかな」
 さつきは夏雄と武彦を交互に見ると、佇まいを治す。
「そうだな。わざわざやきもちのネタを増やす必要もないしな」
「そんなこと……ないっすよ」
 そうは言いつつ、さつきと一緒に帰ることができるのならそのほうが良い。彼女は鞄を手に取ると武彦の隣に並んで夏雄にお辞儀する。
「それじゃあ、また今度」
「失礼します」
「はい、お疲れさん」
 夏雄はお茶を飲みながら、部屋の隅から雑誌を取り出し、暇つぶしを始める。
 武彦は隣にいる彼女を見て、晴れやかな気持ちで部室を後にした。

 もっとも、翌日にはテストのことを思い出し、気持ちブルーになったわけだが……。


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