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コンビニ草紙
【理想の恋愛 恋愛小説】

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コンビニ草紙 第二十参話-3

「リョウコさん、洋七は私の幼馴染でね、町内会長をやっとるのですよ。」

長次郎さんが洋七さんを紹介してくれる。
洋七さんは法被で汗をぬぐいながら私に軽く会釈した。
私もつられて会釈する。

「洋七、この方はリョウコさんと言ってな、草士のガールフレンドなんだよ。」

長次郎さんが私の背中をぽんと叩く。
洋七さんが何やらにやにやして私を見ている。

「そうかい、そうかい。草士もそんな歳かぁ。つい最近までこんなに小さくって
泣いてばっかりいたのになぁ。」

洋七さんは自分の膝の辺りに手をあてて、そりゃ俺も爺さまになるもんだなぁと
笑った。
長次郎さんがガールフレンドの意味をどう解釈しているのかわからないので否定
も肯定も出来ず私は二人のやりとりを隣で聞いていた。
洋七さんが、途中で私にも話をふってくる。

「ところでリョウコさん、もう神社には行ったのかい。
まずはお参りして色々まわって行ってくださいね。
小さい商店街だけど、皆おせっかい焼きの良い人間ばかりですから。」

洋七さんがドンと自分の胸を打って笑う。
そして私の持っている紙袋を見て、何か買ってきたのかとたずねた。

「さっきお華さんにお弁当渡してくれって言われて持って
きました。」

私は紙袋から6個お弁当が入っている袋を出した。

「おぉ、気が利くねぇ。華ちゃんのお弁当がちょうど食べたかったところだよ。
神社の脇にテントはってるからみんなで食べに行こうか。」

洋七さんは私にも来る様にといって、袋を持ってくれたが、草士さんを呼んで
来ないといけないと話すと、じゃあ先に長次郎さんと行ってるよと言って、長次
郎さんと一緒に神社の方に行ってしまった。

長次郎さんと洋七さん、なんだか小学生みたいに話しててすごい楽しそうだった
な。
いくつになっても仲が良いって、何だか素敵だな。

私は心が幸せで満たされていく感じがた。
久しぶりに心温かい人たちと触れ合う事が出来て、毎日仕事に忙殺されている自
分を洗ってくれるようで気持ちが良い。

―草士さん、お腹空いてるかも。

この前、ご飯を食べに行く前に草士さんが鳴らしたお腹の音を思い出して
一人で笑ってしまう。
早く持って行こうと思い、少し小走り気味でさっきまで草士さんとヒロ
タカがいた方向に向かう。

ヒロタカがもういなくなってると良いなぁ。

ヒロタカには悪いけど、この素敵な気持ちを壊されたくない。
だから出来ればいなくなってほしい。
身勝手かもしれないけど、今日だけは、邪魔されたくない。

そんな風に思って急いでいると、さっき2人がいた場所に人だかりが出来ている
のが見えた。
何か見世物でも始まったのかと思い覗いてみた瞬間、ヒロタカが地面に尻もちを
ついているのが見えた。
ヒロタカのが何やら怯えた表情で見上げている。
その視線の先には草士さんが立っている。
草士さんは、今まで見たこともないような冷たい顔でヒロタカを見下ろしていた。


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