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JoiN
【コメディ 恋愛小説】

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JoiN〜EP.5〜-2

「思ったよりも緊張してなさそうだよね」
「そんな事ありません。昨日は眠れなかったっすよ」
「あんたじゃないよ。栞菜。ガチガチになると思ってたのに、今朝はいつも通りだったから」

他の人の演技を見ている栞菜は、立花さんが言う様にあまり緊張してる様には見えなかった。
・・・変だな、栞菜にしては珍しい。
まだ自分の出番じゃないからってのもあると思うが、余裕がある様に見受けられる。

「私はあまり立ち会ってないけど、栞菜はカメラが苦手なんでしょ?」
「うまく笑えないって言ってました。だから俺が笑わせてるんですよ」
「顔見てると笑えるからね。あんた、詐欺師の役しか来なさそうな顔だし」
「立花さんは結婚詐欺師に騙される役ですね、年齢的にもぴったりっす」

ついさっきつねられた尻を、今度は平手打ちでやられた。
さすが立花さん、その突っ込み痛いです。ボケ終わる前に叩くとはさすが、一流だな。
でも不思議だ、痛いのに何故か嫌じゃない。もしかして・・・これが、いわゆる、目覚めってやつなのか?
衆人観衆の場所でひっぱたくなんて酷いじゃないっすか、変な声出しますよ?

「やめてくださいよ立花さん・・・ときめいてしまうじゃないですか」
「なんで叩かれて目を潤ませてんのよ、ちょっと近寄んないで!気持ち悪い!」

それにしても・・・長いな。
栞菜の出番はまだかよ。いつまで主役の教師に時間を割いてるんだ?
早くしてくれないと変な性癖に目覚めちまうぞ。
いくら気持ち良かろうが、俺は見向きもしない女に体を委ねるなどプライドが許さない!
相思相愛でなくてはいかんのだ、片方が片方を支配する関係であってはならん!


「はい、じゃ次は冒頭のシーンいきまーす!」

主役の場面は取り敢えず撮り終わったらしく、ようやく別の所を撮影するみたいだ。
へー知らなかった、ドラマって尺に合わせて場面ごとに分けて撮影するんだな。
裏方とはいえ一応芸能界で飯食ってるくせに、そんなのも知らなかった俺って・・・
生徒役の子達が指定された席に座り、合図を待っている。

「栞菜〜、俺はここだぞ!ちゃんと見てるんです!」
「邪魔すんじゃねえっつうの。カメラ回ってなくても、話しかけちゃいけないタイミングがあって・・・」
「うぇーい!うぇーい!」
「って話を聞け!」

立花さんにしばかれる俺を見て、数人の生徒が吹き出していた。
栞菜は台本を読んで台詞を確認してて、見てなかったらしい。
なんだよ、俺の姿を見れば絶対うまくいくのに、これじゃ叩かれ損じゃねえか。

「お静かにお願いします、マネージャーの方」

ADに怒られて、頭まで下げるはめになった。
挨拶回りとは違って謝罪だからな、情けないうえに悔しい。


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