投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

JoiN
【コメディ 恋愛小説】

JoiNの最初へ JoiN 25 JoiN 27 JoiNの最後へ

JoiN〜EP.5〜-3

「本番いきます!」


その一言で、生徒達の表情が強ばった。
笑っていた子達も、まだ余韻を引き摺ってはいるが動きが止まる。
談笑していたスタッフ達も静まり返り、教室の中を見えない緊張が侵食していく・・・


(栞菜、だいじょぶっすかね)
(これに打ち勝てなきゃ女優にはなれないから)


「試験なんていらないよな。先生もそこは手抜いて簡単にしろっつうの」
「力のいれどこ間違ってるよね。文化祭とかつまんないのに、そこでしょ本番は!」

まだだ、栞菜の出番は。次の・・・次だ。
今の男女ペアも確かこのドラマがデビューかな。いわば栞菜の同期みたいなもんだ。

「やっばぁ〜携帯忘れた!取ってくる!あ、悪いけど、出席の時代わりに返事しといて」

女子生徒が栞菜の肩をぽん、と叩いて立ち上がった。
この子は、確か何回かドラマの経験があった気がする。だから台詞も長めで動きもあるのか。

さあ次だ!栞菜、いよいよデビューだ。

「いいよ〜」

はっきり聞き取れた。
んん・・・っ、なんという、可愛さなのだ!!

「やっぱやだ、めんどい」

いい、いいぞ栞菜!この台詞だけで、お前の役どころは説明できる!

素直で可愛くて、ひたすら可愛い女の子、地上に舞い降りた天使だと。


「はい、OKでーす!!」


名残惜しいが、栞菜の台詞はここで終わりだ。
カットがかかった瞬間、生徒達が立ち上がってそれぞれのマネージャーの所に駆け寄っていく。
分かるぞその気持ちは、うん。早く安心する場所に戻りたいというのはな・・・

「栞菜!お疲れ、こっちおいで!」

立花さんの呼び掛けに笑顔を見せた。しかし、立ち上がろうとしない。
どうした、早く来ないとおしりを叩かれるぞ。この人はそれが生き甲斐だからな。

手を振ってないでさっさと来るんだ。
この俺の熱いハグが待ってるぞ、胸に飛び込んでこい。お前の帰る場所はこの汗臭いシャツの中だ。

「・・・あ・・・」


栞菜が立ち上がり、何歩か歩いたその時、急に頭がガクンと下がり・・・


「栞菜っ!!!」


飛び出して、その決して大きくはない体を抱き締めた。
危うく目の前で大事な彼女を転ばせるところだったが、一安心だ・・・


JoiNの最初へ JoiN 25 JoiN 27 JoiNの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前