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過ぎ行く日々、色褪せない想い
【学園物 官能小説】

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過ぎ行く日々、色褪せない想い-8

「先輩……、高槻先輩? 大丈夫ですか?」
 弘樹の声に、はっと気づく。
「あ、あぁ、悪い。なんか下痢が酷くって。やっぱ緊張かな? ははは……」
 上ずった声を返す悠に、弘樹は無遠慮にドアを開ける。
「やっぱり……」
 思いもしないことに素で驚く悠。
「お、おい! 今プレイ中だったらどうすんだよ」
「先輩、なんか変だと思ったんですよ。練習中とか変にテンション高いし、メールの音とかに怒らないし……」
「なんだよ、そんなこと……悪いかよ」
「おかしいっす。絶対」
「なんでもないっての」
「おかしいっす」
「なんでもない」
 双方譲らぬ言い合いに、また別の声がする。
「なになに? 二人でトイレとかボーイズラブですか? 二種類の意味で不潔ですぅ〜」
 楽しそうに声を上げるのは、女子部員の滝川和子。百五十センチに満たない身長のせいか、弘樹の後ろでぴょんぴょん跳ねており、さらに嬉しくない解釈をしてくれる。
「なんでもないから和子ちゃんは黙ってて……」
「ああん、田丸君てばひどい〜、さっきまでおかしいっすおかしいっす言ってたくせにぃ〜」
「いや、そうだけど、和子ちゃんはなんでもかんでも変な目で見たがるから……」
「だってぇ……、剣道部の先輩後輩、トイレであぁ〜んなんてそうそうお目にかかれるものじゃないでしょ? 少しぐらい妄想してもバチはあたらないもん」
 頭の痛いことをぺらぺら語る和子に悠も困り気味になる。それでなくとも狭い場所に三人もいたら暑苦しい。
「一度戻るか」
「はい。けど、先輩、何があったか話してくれますよね?」
 妙につっかかる後輩に、やはり和子は色眼鏡をかけていた……。


 離れた席に移動した悠達。ポテトを摘む和子は、あまり興味なさそうにウインドウの外を見ていた。
「先輩、携帯見てましたよね……」
「悪いかよ……」
「女子高生じゃあるまいし、トイレで携帯とかありえませんよ」
「いいだろ、男子高校生なんだし……」
「彼女ですか?」
「ぐっ……」
「そうなんだ〜」
「うっ」
 ずかずかとナイーブな領域に踏み入る後輩二人。
 いつもなら軽くいなしているのだが、かすかに芽生えた気持ちのせいか、それができず、むしろ相談したい気持ちすらあった。
「別に、いいじゃないか……、彼女のことで悩んでも……」
「そうですね」
「でもそこには田丸君の嫉妬があるの……」
「ない」
「そうだな」
 即座に否定されてブーイングする和子。
「振られた……」
「……」
「好きな人が別にできた……」
「……」
「嫌いになった……」
「……」
「浮気……」
「……!?」
「嫌われた……」
「……」
「……冷たくなった?」
「……」
 きわどい単語の応酬に、悠は唇を噛む。しかし、彼の変化はしっかりと観察されており、
「大槻先輩、浮気されたんですか〜……、チャンスですよ、田丸君」
 弘樹はぽんと肩を叩く彼女の手を取ると、真剣な顔をして継げる。


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