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過ぎ行く日々、色褪せない想い
【学園物 官能小説】

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過ぎ行く日々、色褪せない想い-40

「……」
「ねぇ、他には?」
「ないよ」
「ないわけないじゃん」
「なんでだよ。」
「だって、悠が誘ったんだよ?」
「ああ、それを言いたかった」
「だめだよ、それじゃあ……私はまたつまんないことしちゃうし……」
「けど……」
「ねぇ……」
「ん? うん……」
「……」
「いや、いい」
「なんで?」
「なんでもだ」
「やっぱり怒ってる? 私と牧夫のこと……」
「怒る理由は無いさ。そりゃああなるなんて思わなかったし、でも、それとこれとはまた別だろ? そういう弱みに付け入ることはしたくない」
「なによ、意気地なし」
「そんなことないさ。今は美琴が冷静じゃないんだよ」
「冷静? んーん、ずっと冷静じゃないかもしれない。多分、寂しいから……」
「寂しいからってのは言い訳の常套句かよ。とにかく今日はもう休め。明日からもあるんだし……」
「うん……わかった。ごめんね悠。わがままばっかり言って……」
「いや、いいさ」

 ブランコを降りた二人はようやく帰路に着く。心なしか距離が狭まっているのは、おそらくは勘違いではないなのかもしれない……?

**――**

 一週間して、和子が部活に顔を出してきた。
 そこには弘樹の姿があり、彼女の後ろでこそこそと隠れている。
「新入部員ですか? 見学ならこちらで……」
 悠はおもいきり嫌味を言うと、彼はバツの悪そうな表情で頭を掻く。
「もう、弘樹君を苛めてはだめです! 先輩でも赦しませんよ?」
「おお、こわ……」
 竹刀を振り上げる和子に怯えたふりをする悠。その様子を他の部員は楽しそうに見ていたが、やがて部長がやってきて、彼の合図のもと、今日も部活が始まる。
 練習の途中、迷いの無い弘樹の太刀筋は鋭く、あわや一本という場面がいくつもあり、逆に悠はどこかひっかかるところがあるのか、防戦一方であった。
 五分間の模擬試合を終えた悠は面を取り、上気した顔で弘樹を見る。彼は果敢にも部長に挑み、しこたま面を叩かれていた。
「先輩……、少しいいですか?」
「ん? ああ和子ちゃん。何?」
「その、外で……」
「いいけど、練習は?」
「後々……」
 部員達の目を盗んでこっそりと道場を出る二人。それを追うのは、鋭い「面」の掛け声のみ……。

「なんのようだい?」
 道場の裏手の、あまり人目につかない場所に連れ出された悠は、和子を見つめる。
 彼女はそっと非常口の段差に座ると、彼にも座るようにジェスチャーする。
「いや、いい」
「そうですか? まあいいですけど……」
「それで、何か話しがあるんだろ?」
「ええ、大城大学の人からです。理事長さんから連絡がありました」
「そうか……」

 例の事件については悠も文章で回答を受けている。
 映画研究サークルに所属していた学生は、現在裁判中であり、判決が下るまで停学処分、後、退学処分とする。現在は前理事や学生活動の管理体制の不備をつつくための格好の材料となっているらしい。
 また、被害者が少女であることから報道規制を要請しており、ニュースにはならず、地方紙の片隅で「大城大学大学生逮捕、児童ポルノ法違反の疑い」と小さく書かれるのみだた。
 使われていたパソコンなど部室に置かれた機材は、全て焼却処分とされ、DVD、VHSは問わず処分された。
 本当は加害者側の疑わしきもの全てを焼却したかったらしいが、それは裁判の行方次第らしい。


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