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過ぎ行く日々、色褪せない想い
【学園物 官能小説】

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過ぎ行く日々、色褪せない想い-37

「待ちやがれ!」
 悠もそれを追うが、逃げるさなかにドアを閉められ、思い切りぶつかってしまう。それでも怯んでいる暇はないと、ドアを勢いよく開ける……と、何かにぶつかる。
「牧夫、どこだ! ……あれ?」
 先ほどのショックで立て付けが悪くなったのか、ドアが半分までしか開かない。
「なんだよ、これ、壊れたのか……、なんだ?」
 何かクッションのようなものが置かれているのか、開けようとすると押し返され、たまに「ぐぇ、ぐぇ」と聞こえてくる。
 下を見ると黒のスラックス。見覚えのある靴は牧夫のものであり、通路のほうには人の気配。よく見ると女性達が通路を通せんぼしていた。
 その一団は袴姿で手にホッケーのスティックのようなものを持っており、それを地べたにはいずる牧夫に構えている。おそらく長刀部であろうけれど、この狭い通路ではいくら牧夫が竹刀を握ったところで不利だろうと想像をする。
「あ、どうも……」
 思わず頭を下げた悠はひとまずドアを閉め、ポストから外を覗き、牧夫がそこをどいたところでドアを開ける。
「あの……」
「悪いけど、途中から聞かせてもらいました……」
「はぁ……」
「なんかうるさかったし、痴話げんかかなんかだと思ってたんだよ。最初。けど、なんか中学生をやったとか聞いて、それは洒落にならないってなって……、こうして張っていたわけですけど、こいつが元凶?」
「はい」
「やっぱりね。なんかこいつらの部室イカくさかったし……」
「でも、まさか本当にしてるなんて……」
 女子一同は口々に何かを言い合っているが、あまり評判の良いサークルでもないらしい。
「えと、どうしよう。今職員の人呼んじゃってるけど……、詳しく話しを聞かせてもらえるかな?」
「そうなんですか……、えと、とりあえず、部室にあるパソコンを……、でもできれば見てもらいたくないんですよ。その、被害者の子と一緒に来てるから……」
「ああ、なるほどね。わかったわ。でも、パソコンとか私達弱いのよね」
「そうなのよね。これでやっつけちゃえたらいんだけど……」
 一人豪腕の女子がたくましい腕で長刀の先っぽを回す。
「いや、それだと……」
 むしろこのまま破壊してしまえば動画を再生する方法が物理的に無くなる。
「いえ、このパソコンは証拠品です……、だから、まだ壊さないでください……」
 表の騒ぎを聞いていたのか、和子が弘樹に寄り添われてやってくる。
「えと……」
「はい、被害者です」
「そう……」
 足元でぼろぼろになっている牧夫も傍目から見れば被害者かもしれないが、これは因果応報というもの。
「職員さんも、もう直ぐ来ると思うから、待ってて……」
「はい……」
 牧夫の罪を暴くことはできたが、彼に相応しい罰を与えるには彼らには荷が重い。悠は大人しく職員達がくるのを待っていた……。


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