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過ぎ行く日々、色褪せない想い
【学園物 官能小説】

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過ぎ行く日々、色褪せない想い-34

「決着をつけますよ。俺なりの方法で……」
「いや、だけど、暴力沙汰は……」
「その為の退部届けです。まぁ、退学届けは勘弁してください。さすがに中退とかきついんで……」
「いや、でも、そんなこと……」
「大好きな女をここまでされたんです。俺は絶対に赦しません」
「……いや、まぁ、そうだな……。ふふ、うらやましいよ。お前はそうやってしっかりと彼女を守ってやれるんだな……」
「どうですかね? 本当は悔しいからそうしたいだけなのかもしれませんし」
 正直なところ、判断がつかない。彼がやろうとしていることが公になれば、傷つくのは和子だけではないのかもしれないのだから。ただ、消極的な自衛策ではいつかまた牧夫は和子の前に立つだろう。それならばいっそのこと、全てを断ち切るのも……。
「……なんですか……」
「……あぁ、それで……」
 時計はもうすぐ六時を回る頃。まだ家庭教師には時間があるのだが、角から聞こえてくる声は、一番聞きたくない声。そして……、
「あっ……」
 美琴と寄り添うように歩いてきた牧夫は、一瞬固まった。
 三人が揃っていたことと特に険悪な様子がないことに、ある程度のことは察せられる。
「どうも、牧夫さん……」
 静かに言い放つ弘樹は、今にも殴りかかりそうな様子で彼を睨む。
「おい、やっぱまずいって。すこし落ち着け……」
 悠は思っていた以上に熱くなっている弘樹に、やはり止めようとわって入る。
「どうかしたのかい? そんなところに集まって……」
「しらばっくれなくてもいいですよ。もう全部和子ちゃんから聞いてますし……」
 悠がいないかのように牧夫に歩み寄る弘樹。彼はやがて悠を突き放し、牧夫の襟元を掴む。
「な、何してるのよ貴方! ちょっと、離しなさいよ……」
 突然の暴力にも美琴は毅然と声を上げる。だが、弘樹はふんと笑うだけで、そのまま牧夫を壁に押し付ける。
「美琴さんだっけ? あんたもコイツに騙されてるんだよ! まぁ口で説明してもしょうがないし、俺、バカだからこういう説得のほうが得意なんだよ!」
 振り上げたこぶしがどしっと鈍い音をたてる。そして牧夫の悲鳴が続く。
 痛みにしゃがみこむ牧夫の背中を、弘樹は遠慮なしに踏みつける。
「ちょっと、何をしてん? 自分、何をしているかわかってる? 悠も見てないで止めてよ。……あぁ、警察呼ぶわよ! 貴方、止めなさい!」
 一人事態のわからない美琴はきわめて常識的な対応をするが、和子が思いつめた様子で彼女の手を取る。
「ちょっと、貴女までなんなの? ねぇ、なんで牧夫がこんなことされないといけないの!?」
「コイツは、こうされてしかるべき奴なんです……」
「なにそれ、意味わからない……。とにかく止めさせてよ、ねえ悠、お願いよ……」
 頭を庇って蹲る牧夫の姿に半狂乱になる美琴。彼女は昨日のことも忘れて悠にすがりつく。彼もまた複雑な様子だが、黙って頷くと、二人のほうへ歩み寄る。
「もう止めろ弘樹。これ以上やったら後が面倒だ。まだコイツにはしてもらうことがある」
「でも、先輩……、コイツは和子ちゃんを、それに美琴さんだって!」
「ああ、それはそうだけど、俺達が私怨で暴力を振るうのはまた別次元の犯罪だ」
 本当は彼も殴りたかった。蹴って蹴って、蹴りまくって、今日までためた憂さを晴らしたかった。
 けれど、今目の前で砂塗れになった牧夫を前にすると、たとえこの男が極悪人であったとしても、それができなかった。
 同情とは違うのだろうと思いつつ、悠は彼の首根っこを掴んで上向きにさせる。
「ねぇ、悠……、お願い話して……。なんで、なんでこんなことするの……」
 ようやく終わった暴力の嵐にほっとしたのか、美琴は震えながら悠に声を掛ける。


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