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死神のイメージ
【ファンタジー 恋愛小説】

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死神のイメージ-4

「言葉が理解できる種族の異性と交際する時は、事前に必ず自分から正体を明かす事。
これが死神の掟です。破った場合は物云えぬ石ころに変えられてしまうのです」

いつもの冗談っぽい真面目な言葉に聞こえた。
でも、これは冗談じゃない様に聞こえた。目が・・・金色に光ってたから・・・!
何かのトリックだと考える隙間は頭の中には無かった。
彼の、尚志くんの堂々とした声が疑おうという気持ちをかき消してしまうのかもしれない。
言われてみればどこか普通の人間とは違う雰囲気がある。
言動がずれていない様でずれている、
でもそれは不快なものではなく、寧ろ周囲の人間を暖かい気持ちにさせている。

「し、死神って、普通にこっちでも暮らせるものなの?」

彼が死神である事を受け入れている自分に戸惑いつつ、取り敢えず湧いた疑問をぶつけてみた。

「こっち、というのは・・・ああ、こちらの世界、ですか。
はい、特に問題はありません。母上に聞いた話なのですが、既に人間と家庭を築いた同胞はそれなりにいる様ですし」
「それ・・・って、つまり死神が人間の社会に溶け込んでるってこと?」
「ごめんなさい。あまり気持ちのいい話ではありませんよね。」
「違う違う、そうじゃないの。ホントに」

すぐさま否定したけど、気持ちに嘘はつけない。
死神は人殺し。勝手過ぎる思い込みだけど、実際に近くにいたらいい気持ちじゃない。

「・・・仲澤さん、僕と交際して頂けますか」
「・・・!」
「まだお返事も聞かず、勢いでここまでお連れしてしまい申し訳ございません。思っていた以上に僕は獣でした」

死神と、付き合う。
どうする。付き合ったら、いつ命を抜かれるか分からない。
でも・・・さっき言ってたじゃない。僕は命を奪わないって。

「もし駄目なら、家まで送ります。勿論、玄関までですけど・・・」

駅に着いて一旦電車が止まる。
まばらに客が乗り込んできて、空いている座席を埋めていく。
発進のアナウンスまで時間がないはずなのに、とても長く感じる。
何だか、早く答えを出せと、乗客は愚かこの場に居ない車掌にまで急かされている様に思った。

私は・・・
私は、目の前で固唾を飲んで微動だにしない死神と・・・


「あの」


その先を言ってから、ゆっくりと電車が動き出した。
ずっと止まることは無い。そう思っていた。


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