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鳴神家物語(秋の場合)〜異説勇者物語!〜
【ファンタジー その他小説】

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鳴神家物語(秋の場合)〜異説勇者物語!〜-4

第2章  勇者よ街を守れ!

俺がゲームの中に入り込んでから一夜明け、 俺は何とか気持ちを落ち着け3人と朝食をとっていた。
やっぱりこれは『力』なんだろうなぁ。まさかゲームのこと考えてるときに『力』が発現するなんて・・・・。
あれから自分なりに力を解除しようと頑張ってはみたけど全然無理だったし。
多分ゲームのストーリーをクリアしなかれば現実世界には帰れないのだろう。
ゲームの状況としては、前回俺が普通にプレイしていたときにセーブしたところからのスタートのようだ。
ちなみにセーブをしたのはこれからラスボスのいる魔王城へ向かうところだった。
そして、今いるのは魔王城のすぐそばにある町だ。
「・・・・・・・ってことでどうかしら?って秋聞いてるの?!」
どうやら魔法使いの夏香がなにか話していたらしいけど、『力』について考えてた俺は完全に聞き逃していた。
「あ、ごめん。もう1回話してくれないかい?」
「し、秋殿、本当に大丈夫ですか?」
と戦士の春人がビクビクしながら聞いてくる。
「秋さん、やっぱり昨日の今日ですから休んでいらした方がよいのではないですか?」



これは僧侶の冬哉。
(そうさせてもらおうかぁ・・・。)
そうつぶやこうとした瞬間・・・。
「きゃぁぁあー!!!」
外から悲鳴が聞こえた。それも1つだけじゃなく、いくつもの悲鳴が。
「な、なんだなんだぁ?!」
外を見るとそこには鱗におおわれた体に長い尻尾、口から真っ赤な炎を吐いたりしてる大きなドラゴンが1匹と、
図鑑にでも載ってそうな悪魔がウジャウジャと。
そ、そういえばこのゲームの攻略本に町が襲われるなんて書いてあった気が・・・。
「み、みんな!ドラゴンが出たっ!」
3人にそう叫ぶと。
「あぁ〜、ホント。あれはドラゴンだねー。」
と夏香。
「いやぁ、デーモンもたくさんいますなぁ。」
と冬哉。
「ドドド、ドラゴン〜!怖い〜!」
これは春人。
な、なんか春人以外はやたらと落ち着いてるけど・・・。
「あいつらは倒さなくていいのか?」
さすがに不安になり聞いてみる。一応勇者一行なのだからやっぱ助けなきゃいけないだろう。
「ま、仕方ないわね。パパっとやっちゃいましょ。」
「そうですね。秋さんはゆっくり休んでてください。ここは3人で十分です。」
「え〜!ドラゴンもデーモンも怖い〜!」
やる気になったらしく外へ出ていく3人。春人だけは引っ張られてたけど。
あんなんで大丈夫なんだろうか・・・。
そう思って窓から外を見て俺は驚愕した。
夏香が笑いながら派手な呪文でデーモンを蹴散らし、冬哉が呪文で弱らせた敵を春人が怖がりながら叩き切っていたのだ。デーモンは倒されるやら逃げ出すやらでどんどん数が減っている。
敵ながらデーモン達に同情してしまった。まぁ、確かにやたらレベル上げはしてたけど・・・。
そうこうしているうちにデーモンはいなくなり、残るはドラゴンだけになっていた。
手下を瞬殺され怒り狂ったドラゴンは炎を吐いたり尻尾を振りまわしたりと激しく抵抗している。
「くそ〜!こいつ結構やるじゃない!何か弱点とかないのかしら?!」
尻尾の攻撃を避けながら叫ぶ夏香。
あ!そういえば攻略本に!!
そう思った時には叫んでいた。
「そいつの弱点は後頭部だ!3人ともそこを狙って!」
その瞬間、3人の目があやしく光った・・・・ように見えた。



(5分後)



そこには見るも無残な姿になった先ほどのドラゴンの姿が。敵ながら不憫だ。うん。
最後の方なんか逃げだそうとしてたぞあれは。
街にいたっては魔物よりも3人による被害の方が多いんじゃ・・・。
あれ?心なしか街の人怯えてないか?
なんて考えていると
「よ〜し!ストレス発散もしたことだし、ちゃちゃっと魔王を倒しに行きましょうか!ね、勇者様?!」
博愛の精神を一欠けらも感じさせない口調と台詞で夏香が言い放つ。
「は、はい・・・。」
一抹の不安を感じながらも俺はそう口にするしかなかった。


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