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闇からの招待状
【フェチ/マニア 官能小説】

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闇からの招待状-3

「そんな怖い目で見ないで。日本の家族に電話して、お金を払えばあなたは自由になれるよ」
 リンはそう言いながら、私が手足を縛り上げられて猿轡を噛まされている写真を携帯電話で何枚か撮った。何に使うつもりなのだろうか。それからリンは私の猿轡をはずして、家族に電話をかけるように強要した。
「ロープを解いて!」
 私は交換条件を提示したが、リンは即座に大きく頭を振った。
「あなたに逃げられたら、あたしがただでは済まなくなるよ」
「じゃあ教えて。主犯はあの黒人3人組ね。あなたは誘き出し役。あのエドワードは?」
「ただの食い詰めた旅行者だよ」
 そういう構図だったのか。
「あのアフガンの子も放してやって。お願い」
「あなた、自分の心配をした方がいいよ」
 リンはそう言って、私の目の前に携帯電話を突き出した。

 電話口に出たのは母だった。
「お母さん、あたしだよ」
 私がそう言い終わると、リンが携帯を私の口元から離した。
「私は入国管理官です。娘さんはドラッグの件で身柄を預かっています。わが国は薬物には大変に厳しいですよ。眼をつぶってあげてもよいのですが……1万ドル用意できますか? それともこのまま警察に連行してよいですか?」
 手口がマニュアル化してるなと思った。あの携帯に撮られた緊縛写真も、いざとなったら脅しに使うつもりなのだろうか。

 リンが見張り役の間は私たちの縄を少し緩めてくれ、要求すれば粗末な食事も口にはできた。でも私はともかく、アフガンの少女はかなり衰弱していた。身代金の交渉もうまくいっていないのか、リンも彼女には冷たかった。もっとも、私の方の交渉がどうなっているのかもさっぱりわからない。
 1週間が過ぎたとき、黒人のエドワードがやって来た。エドワードは妙に機嫌がよかった。リンとなにやらヒソヒソ話をすると、私の方を指さした。何かが動いた感じがした。
 リンが手に注射器を持って近づいてきた。私は縛り上げられた格好のまま身をよじって抵抗したが、リンは委細かまわず私のショートパンツをまくって注射針をお尻の肉のあるところに突き立てた。

 目が覚めると、そこは車のトランクの中らしかった。手足の縄もきつくなったのに加えて、猿轡もまた噛まされていた。悪路を高速で走っているのか、体は何度もバウンドしてトランクの壁にぶつかった。それにTシャツにショートパンツとはいえ、まるでサウナの中にいるようだ。苦しい。
 車がようやく止まった。トランクを開けたのは、黒人のエドワードの仲間だった。男は私をお姫様抱っこすると軽々と運び、明け方の誰もいない道端に仰向けに横たえた。まっすぐな道路で、あたりは荒れ果てた畑のように見えた。男たちは縛られたままの私を置き去りにして立ち去った。

 陽が昇りきってしばらくしたとき、一台のトラックがこちらに向かってきた。といっても私は、手を上げることも叫ぶこともできない。蓑虫のように無様に転がっているしかなかった。
 トラックは急ブレーキをかけて私の前で止まった。運転席から若い男性が飛び出してきた。そして、私の猿轡をはずしてくれた。
「どうした?」
「ずっと誘拐されていたんです。助けて」
 男性はあたりを見回した。ひどく警戒しているようだった。
「君はどこから来たんだ?」
「日本です」
 男性は小さくうなずいてまだ手足を縛られたままの私を抱き上げて、トラックの荷台に仰向けに寝かせた。
「誘拐団の一味がまだ近くに潜んでいるかもしれない。それにこんなにきつく縛られてるんじゃナイフが必要だ。ここは危険だから早く出よう。次の町にうちの会社の倉庫がある。信用してくれ」
「はい」
 私は泣きながらそう言った。


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