投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

イジメテアゲル!
【学園物 官能小説】

イジメテアゲル!の最初へ イジメテアゲル! 2 イジメテアゲル! 4 イジメテアゲル!の最後へ

イジメテアゲル!-3

「そうじゃないよ。はは、ミーさんと会えて嬉しいな。それだけでお腹いっぱい」
 英助にとって、美奈は嫌いじゃないが苦手な存在。それに、今のこの説明のしづらい状況に首を突っ込まれても困る。そもそも、由美の放心ぶりには、彼自身戸惑っているのだから。
「由美さん、おはよう。どうかしたの? なんかぽーッとしていますけど」
 由美の様子を不思議に思った美奈は、まじまじと彼女の顔を覗き込む。
「あ、美奈ちゃん、おはよう。うん、私は平気……なんでもないから……」
 明らかに何でもあるのだが、それだけ言うと、今度は顔を隠すように俯く。
「英助、貴方由美になにかしたの? そういえばさっき、謝っていたようだけど……」
「な、なんでもない、その、宿題だよ。写させてもらおうと思ってさ」
「課題なんて出ていましたっけ?」
 クラスこそ違えど、教科担任は同じ。彼らに出た課題は当然彼女にも出ているはずなのだ。訝しむ美奈は語尾を強めて尋問を開始。
「あー、あの、俺だけ特別にレポート提出しろって言われたんだ。授業中に寝ててさ」
 うろたえる英助は嘘で嘘を塗り固める。
「英助だけに出た課題なら、なんで由美に協力してもらえるのかしら? 写すなんてできないでしょう?」
 しかし、中途半端なメッキは付き合いの長いせいか、簡単に剥がされてしまう。
「う、それは……その」
「やっぱり英助、私に隠し事をしているでしょう? 白状なさい! さぁ!」
 鋭い指摘にたじろぐ英助。すると、意外なところから助け舟が出る。
「英助君、早く行こう。宿題する暇なくなっちゃうよ……」
 呆けていたハズの由美が彼のブレザーの裾を引っ張り、急かすように言う。
「え、あ、うん」
 英助は思わぬ展開に目を丸くしながらも、話をあわせて頷く。
「そういうわけだから美奈ちゃん、また後でね……」
「そ、そうですの……」
 おっとりとした彼女が珍しく早口で捲し立てるので、美奈もそれ以上追及できず、校門に走る二人を見送る他なかった。

〜〜

 教室までの間、由美は彼のブレザーの裾を離さなかった。
「なぁ、おい白河、聞いてるのか?」
 まったくつかめない彼女の心模様に、英助はすっかり困惑気味。もちろん嫌なわけではないが、それでもクラスのお姫様である由美に手を引かれて歩くなどという事が、彼女の親衛隊を気取る輩に知られたら、ただでは済まされない。
「おっはよー、由美!」
 後ろから挨拶の声と一緒に、ぱたぱたと駆け足が聞こえてくる。
 クラスメートの久住千恵だ。彼女は女子にも関わらず由美に纏わりつき、常に男子が傍に来ないように見張っている。
「あ、千恵ちゃん、おはよう」
「……それより、なんで進藤がいんのよ」
「あ、えっと、進藤君とは、今朝同じ電車だったから、それで一緒に来たの」
 俯いたままたどたどしく話し出す由美に、千恵はイジワルそうに眉間を歪ませ、英助に詰め寄る。
「あんた、まさか由美に変なことしてないでしょうね?」
 美奈と同じ反応にさすがの英助も苦笑い。というか、自分はそんなに女子から変なことをしそうな人間と見られているのか、自信がなくなりそうだ。
「ち、違うよ、進藤君はそうじゃなのです」
「ふーん、由美がそういうならいいけど……。でもね進藤、もし由美に言い寄ったりしたら、ただじゃおかないからね?」
 いったいどうただじゃおかないのか気になってしまうが、明るい学校生活を送るためにも、生徒の半数を占めるであろう女子に嫌われることはしたくない。
「はいはい、仰せのままに、お姫様」
 英助は言い返したいのをぐっと堪え、さっさと教室に入る。それでも、お姫様の言葉に由美が寂しそうに唇を噛んだのは、彼も気になってしまったのだが……。


イジメテアゲル!の最初へ イジメテアゲル! 2 イジメテアゲル! 4 イジメテアゲル!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前