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海螢
【SM 官能小説】

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海螢(美奈子の場合)-7

淡い飴色の灯りの中で、ムラタは天井から垂れ下がった鎖についた革枷を、美奈子の頭の上部で
重ねた細い手首に嵌める。

鎖を引くムラタによって、天井の滑車が軋み、少しずつ美奈子のしなやかな白い裸体が上部に引
きあげられる。手首に革枷が強く喰い込む。ライトの光彩を浴びた艶やかな腕と体がピンと伸び
きり、ハイヒールの爪先が床からわずかに離れると、美奈子の体がふわりと宙に浮く。

ムラタの瞳が、ぶらりと吊された美奈子の白く潤んだ体を、どこまでも愛おしく切なく愛撫する。


ムラタはじっと美奈子のからだを見つめ続けていた…。
彼の瞳の中に、あのウミホタルの光が甦ってくる。その光が乳首の先端を一瞬なぞったとき、
美奈子の豊かな胸の谷間がぶるりと震えた。



…そんな哀しい目で見ないで…虐めて…早くいじめて欲しいわ…


ただ憂いに充ちた黒い瞳だけが、能面のように変化したムラタの白い顔の中で蠢いていた。
ムラタは壁に掛けてあった黒革の一本鞭をゆっくりと手にした。



時計の針が、ときを刻む音だけが静かに部屋の中に流れていた。




一瞬、ヒュッと鞭が空を切り、振り降ろされた鞭が美奈子の背中の翳りに吸いつく。


ビシッー


…あうっー…


白い乳房がぶるりとゆれる…。その重い痛みに美奈子は、弓なりにのけ反る。これまで感じた
ことのない、どこか磨ぎ澄まされた淫情が、ひたひたと美奈子の体の中を充たしてくれるよう
だった。


…もっと強くぶって…もっと、もっと…


でも、ムラタが振り下ろした鞭は一度だけだった。

どうして…もっと虐めてくれないの…狂ったように美奈子は悶え、ムラタの鞭を哀願した。鞭が
乳首を噛みちぎり、陰部の繊毛を削ぎ落とすくらい烈しく肌を連打して欲しかった。自分の陰部
を痺れるような濃い蜜汁で充たしたかった…。

そのとき、なぜか目にしみるようにヒロユキの顔が瞼の裏に浮かんできた…。





泥のように眠り続けていた。
窓から仄かに明かりが差してきたとき、美奈子は目を覚ました。衣類がベッドの傍の床に脱ぎ散
らかされていた。下着姿のままで倒れ込むように寝込んでしまったのだ。

手首に革枷の痕がうっすらと朱色に残っていた。ベッドから起きあがり、窓のカーテンを開ける。
ムラタが振り下ろした一度だけの鞭の痛みが、まだ背中に微かに残っていた。


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