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旅立ち
【青春 恋愛小説】

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旅立ち-7

「なぎさあ、いい男見つかったか?」
「うーん。軽い男ばかりでさ。骨のある男がいないね。」
「そう言う勇斗もいい女が見つからなくて、私に電話してきたんでしょ?
 それとも私の体が、忘れられなくなったかな?」
「忘れられないのは間違いないな。」
「本当? ほんとはさ、私も勇斗を忘れられないかも?
 そんなことになったらどうする?」
「そんなら、こうだ!」
「きゃあ、勇斗ったら!」

僕は渚に抱きつき、押し倒していった。渚は、きゃっきゃとはしゃぎ、そんな僕を楽しんでいるようだった。明るい渚と戯れていると、僕は本当に楽しかった。美女たちに囲まれているときよりも、友達とバカ騒ぎをしているときよりも楽しかった。そして、僕はふと思った。渚とセックスするよりも、こうしている方が楽しいのかもしれない?
俺は渚の体に引かれていたんじゃないのか? 体の相性ってなんだ? 男と女って、恋愛って、好きってなんだ?

分からない。

渚が可愛い。今、それだけは間違いのない事実だった。

「渚。かわいいよ。」

渚を抱きしめる。
渚の甘く切ない吐息が部屋に広がる。
一つに繋がる。
熱い吐息が漏れる。
燃え上がる。
渚の体がくねる。
熱い思いを抑えられない。

「渚、好きだ・・・・」

自然と口にした言葉に、僕自身が驚いた。
渚がハッとしたように動きを止め、僕を見つめている。
渚は、僕の瞳が真っすぐに渚を見つめていることを確認すると、僕の首に両腕を巻きつけ抱きついてきた。

「勇斗、私も、わたしも好き・・・・」

自分でも驚く程、渚への思いが湧き出してくる。堪らない気持ちになる。
渚! 渚! 渚! 僕は、心の中で渚の名前を呼び続けていた。

「勇斗、いつもと違う。違うよ!」

渚の言う通りだった。女性の体を使い射精するだけのセックスとも、女性を独りよがりに攻め立てるセックスとも明らかに違う。今、僕と渚は一つになっている。気持ちが一つに繋がっている。

渚が愛おしい。

「勇斗。凄い、凄いよ。こんなに・・・・ あ、また・・・ っく・・・・・・」

これが、人を好きになるってこと?

「勇斗。いっしょに、いっしょに・・・いこ・・・」

僕は、渚に応えようと、渚を力いっぱい抱きしめ激しく腰を使った。二人の思いが一つになり、正に登り詰めようとするその時だった。

ノックのような音がした。そして、開かれたドアの向こうに絵里の姿が見えた。

「い、いやああああああ!」

僕のワンルームは、入口から室内が一望できるものとなっている。絵里は、ベッドの上で長い脚を大きく広げて男を迎え入れている裸の女のと、その女に覆いかぶさり、むしゃぶりつくように女を抱きしめている裸の男を、はっきりと見たはずだ。

絵里は午後の講義が終わり、何かの理由で僕の部屋に立ち寄ったのだろう。チャイムが壊れて入ることを知らない絵里は、仕方なくドアを開けたのだ。そして、絵里は、見てはならないものを目の当たりにし、逃げるようにその場を立ち去ったのだ。


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