はしたない女-2
[ もう帰るの？
泊まるんやろ？ ]
[ うん、ちょっと大阪見物でもしてから明日帰ろうかなっ…て… ]
今でも彼女とはたまに電話し合ったりしているが、大阪のさくらちゃんは本当にいつも明るい子だった。
大阪は私にとってさくらちゃんのイメージそのものだったのだ。
底抜けに明るくて、はしたない…
[ それならウチに泊まりぃな。
ホテル代も浮くし… ]
[ そんな…悪いわ。
一応の予約もしてるし… ]
[ そんなもんキャンセル、キャンセル！ ]
小学生の頃、さくらちゃんのお家に数日泊めてもらった事があった。
さくらちゃんの家は市営住宅だったので大人になった私がご厄介になるのは、いくら何でも気が退ける…
[ そんな急に…叔母さんに悪いわよ… ]
[ なぁに言うてんの。
あんな臭いとこ泊まれるかいな、ウチ今彼氏と住んでるねん。 ]
[ くさいって… ]
聞いてなかった。
さくらちゃんは家を出て彼氏と同棲してたなんて…
私は子供の頃から明るくて、あっけらかんとしたさくらちゃんにどこか憧れるところがあった。
私と同い年で構えた愛の巣にお邪魔するなんて…
悔しいぐらいもっと悪い。
[ 今どこ？
早よ来んかいなぁ。
イトコ連れて帰るしな… ]
近くのドーナツショップの中、おもむろに携帯を取り出した。
東京でこれをすると何だかはしたないけど、周りを見渡すと約半分ぐらいの人がお店の中で大声で電話をかけている。
大阪の人は実に忙しいのだ。