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改:愛・地獄変 〜地獄への招待〜
【鬼畜 官能小説】

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改:愛・地獄変 〜地獄への招待〜-11

(青年)

それから三年程経ちましたでしょうか。
二十歳の秋の終わりでございました。高校卒業後、大学には行かずに勤めに出ておりました。そのことでも、妻と一悶着ありました。私は娘の好きなようにするがいいと申し、妻は是が非でも進学をと言い張りました。
妻の気持ちも分かりますが、いや本当のところは私としましても大学生活を味わってもらいたいと思ってはいました。しかし、娘に反対する勇気が無かったのでございます。惚れた弱み、あっいぇ、・・・お忘れください。幸い、私どもの取引先の穀物問屋にお世話になることができました。その穀物問屋は先代からの取引先で、妻も良く知っている所でございます。故にまぁ、妻も渋々承知しました次第で。

突如、何の前ぶれもなくー陽射しの強い日曜日の夕方に、私の恋人だと青年を連れてきました。肝をつぶす、というのはこういうことを指すのでございましょう。唯々驚くばかりでございます。妻などはもう、小躍りせんばかりに喜ぶ仕末でございます。
わ、私でございますか?・・そりゃあもう、嬉しくもあり哀しくもあり、世のお父様方と同じでございますよ。えぇ、本当にそうでございますとも。

青年は二時間程雑談を交わした後、帰って行きました。穀物を扱う商事会社に勤めるお方で、年は二十六歳の一人暮らしとのことでございました。両親は、九州にご健在で弟一人・妹二人の六人家族ということでございました。
その後娘は、しきりに青年の印象を聞くのでございます。妻が、いくら
「いい人じゃないの。」と言ってみたところで、私が一言も話さないものですから、娘も落ち着きません。お茶をすすりながら、ポツリと私は言いました。

「いい青年だね。だけどお前、やっていけるのかい?ゆくゆくは、ご両親との同居もあるよ。」
娘は、目を輝かせて
「勿論よ、お父さん!」と答えるのでございました。
その夜は、まんじりとも致しませんでした。
「勿論よ!」と、言い切った時の娘の目の輝きが、目を閉じると瞼の裏にはっきりと映るのでございます。それからの私は、まさしく且つての妻でございました。顔にこそ出しませんが、心の内では半狂乱でございました。娘を手放す男親の寂しさもさることながら、

実は、正直に申しますと、娘に対して‘女’を意識していたのでございます。以前にお話ししたとおり、血のつながりの無い娘でございます。勿論、自分自身に言い聞かせてはおりました。
「血はつながらなくとも、娘だ!」と、毎夜心内で叫んでおりました。しかし、崩れてしまいました。脆いものでございます、親娘の絆は。もっとも親娘は親娘でも・・・。
それからの私ときたら・・・。娘の入っていることを承知で、風呂場を覗いてみたり電気を消してみたり、とまるで子供でございました。娘の嬌声に歓びを感じているのでございます。そんなことを、初めの内は勘違いと思っていた妻も、度重なるに連れ疑問を抱き始めたようでございます。私の行動に目を光らせるようになりました。そんな時でございました、あの、忌まわしいそして恐ろしい夢を見ましたのは。

或夜のことでございます。
私と妻は、一つの布団におりました。が、急に妻が起きあがるのでございます。あっ申し訳ありません、夢でございます。ご承知おきください。未だ、別の部屋での就寝でございます。私の腕の中からすり抜け、誰か男の元に、走っていくのでございます。一糸まとわぬ姿で、その男にすがりつきます。私は妻を追いかけると共に、その男を見ました。とっ!何ということでしょう、あの青年だったのでございます。娘の婚約者でございます。


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