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【気まぐれ彼女と気弱な僕と】
【調教 官能小説】

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気まぐれ彼女と弱気な僕A-3

『そっか。まぁいいや、今日泊めてよ』

『‥‥は?』

突拍子もない発言に面食らう。

『いいぢゃん、今日行くとこないの』

彼女に腕を取られ俺はその勢いに気圧されて頷いてしまった

―ベッドで彼女が寝息をたてている。色々喋っていたが名が比奈子という事しか覚えていない。

俺はソファで寝返りを打つ

(寝れない)

時計の針は3時を回っていた。体が重く起きあがるのもだるいのに、目だけが起きている。ずっと靄がかかったような状態にも関わらず、脳は活動を休もうとはしない

『水を飲もう』

そう思って無理に体を起こした。半ば這いずるように台所に向かう

手近に伏せておいたコップを取り水を一口飲む

自分がこんな状態であるにも関わらず身の回りは整然と以前のまま変わらない。

それだけは無理してでも守り通しているルールだ

シンクは清潔で洗いあげた食器は全て食器棚にしまってある。冷蔵庫は最近買い物に行かないから空。モーター音だけが低く鈍くしている。

そういえば最近ロクなものを食べていない事に気付いた。

ほんの数日前にはここで料理をしていた事を思い出す。料理は唯一の趣味のようなものだった。

器具にはこだわったが特にこだわったのが包丁だ。

利き手が左手の為、包丁探しには手間取った。あちこち探し歩いたが好みのものは見つからず遂にはオーダーメイドにしてしまった

結構値の張る代物だったが、手にした時は満足で笑みがこぼれた

(そういえば最近手入れをしていないな)

気付いた事で酷く気になってしまう。元々完璧にするのが常だ

今、研いでこのコップと同様に元ある場所にしまっておけば気持ちよく眠れるのではないかという考えが頭を掠める

比奈子を起こさないように慎重に流し台の下を開き、目的のものを手にする。掌にしっくりとなじむ造りと適度な重さ

慣れ親しんだいつもと変わらぬ感触

だが、今日は何故か視線が刃先に吸い寄せられ離せなくなった

黒い点のような嫌な考えが浮かび、白い紙に落としたインクのようにジワジワと広がっていく

(この刃先を喉に突き立てたらラクになれるかもしれない)

その時、何故かそう考えた。冷静になれば恐ろしい考えだと解るのだがその時はそれが一番正しい考えのように思えた

ゆっくりと刃先を自分の方に向ける。窓から差し込む僅かな光が刃の表面で怪しく揺らめき、表情を失った俺がうつる。

‥と、そこで声が掛けられた

『――――』


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