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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯4/ステップアップハートビィト-8

アキラは相手によって構えを変えた。
上段が多いが、下段に構えたり(下段は防御に秀でた構えだが現代剣道で使う人は少ない)中段に構えたり…
(脇構えとか普通はあまり使わないような構えまで…)
ただでさえ腕の差があるだろうに、アキラの何というかアグレッシブな剣術は相手にとって掴みどころが難しく、たまったもんじゃないだろう。
(アキラが習っているのは剣道ではなく、おそらく剣術なので、そのせいもあるかもしれないけど。)
アキラは試合の合間も所狭しと駆け回り、後輩たちの試合を応援したり、アドバイスしたり、練習に付き合ったり…なかなか面倒見も良いようだ。
その名は聖ナントカ学院中等部(ナントカの部分は読み取れなかった)
アキラの通う中学の名前を今日はじめて知った。
幼稚園からの一貫教育で知られるエリート校。なるほど、オリンピック候補とかで騒がれるのも分かる気がする…文武両道で有名なとこだからね。
では、そのまま高等部に向かうんだろうか?
確かに学校としては申し分ないだろう…というか同じ県下にあって悪い噂の一つも聞かないお嬢様学校…何の不満もないよ、ないけどさぁ……
(というか、俺ごときが不満だとか評価だとか言ったところでどうなるもんでもないけど)
何かさ、ちょっと夢見てたんだよ。アキラとともに過ごすスクールライフを。ぜったい楽しいと思うんだ。
(その儚い夢が早くも黄信号…うぅ)
まぁ、聖マリナントカ学院ならば、俺が通う予定の(あくまで予定!だって受験がまだだから…俺の成績って平均的だからね)海都学園と同じ県というか市内にあるから全く会えなくなるなんてことはないんだろうけどさ。
ボ〜ッとアキラの姿を追いながらそんなことを考えていた。


時計の針は11時近くを指している。
アキラは控え室に引っ込んでしまい、僕は暇を持て余していた。
(控え室まで声をかけに行こうかとも思ったけど、あの親衛隊のことを思い出し自主規制することにしました)
何かアキラ以外の奴の試合は…特に何も。
ちなみに我が中学の面々は、個人戦も団体戦も早々と敗退していた。
(やはり俺様がいないとダメだな…うけけけけ)
暇なんでそんなくだらん事を考えてみたりもした。
はふぅ…
お行儀は悪いが、暇を持て余している僕はベンチに寝転んだ。
まあ試合は続いていて、やかましくって眠れるはずもないんだけど。
(俺ってほら、枕が変わっただけで眠れない人じゃん?自分の部屋じゃないと熟睡できない人じゃん?)
(そんなん誰も知らねーよ!)
僕は漫才師のツッコミ役のように腕を振るってみた。
バシンッ!!
「ってぇぇぇ〜!!」腕を思いっきりベンチにぶつけてしまった。
(…阿呆だな俺。)
腕をさすりながら縮こまっていると、暖かすぎる空調のせいでだんだんと睡魔が襲ってきた。
(眠っちゃったら風邪ひくだろ〜なぁ)
でも、睡魔はそんな葛藤などお構いなしに僕を夢の世界へと誘う…。
(やめるんだダルタニアン!僕を…僕を連れて行かないで!)
ダルタニアンって何だ?睡魔と必死に戦う僕の脳内はなんだかぐっちゃぐちゃだった。
(……風邪ひいてもいいから、夢にアキラが出てきますようにぃ……夢の中だけでは俺の…俺だけの……ニヘラ)
僕が睡魔に屈しようとしていた、その時…
「朝比奈だよな?」という一声が僕の眠気を追い払った。


朝比奈茜観察日誌・八雲若葉著
見た目…ボサボサ頭。目付き悪し(半目)、鼻筋通っててムカつくけども…猿もしくは猫。
服装…パーカーに迷彩パンツ。普通、芸無し。
身長…一般的。ちょっと成長は遅れ気味かも。アキラとは釣り合いがとれそうなので合格点。
その他…独り言多し。挙動不審。茶か茶かしすぎ、改善の余地ありあり。
中間採点…どこが良いんだか…とりあえずかなり改善の余地ありあり。


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