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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯4/ステップアップハートビィト-1

あ〜もう何だってんだよ〜!
のっけから申し訳ない、どうも僕です。
今日はアキラの試合を見に行く日なのにぃ!
何日も前から楽しみにしてたのにぃ!
確実にアキラに会える貴重な日なのにぃ〜!
朝から進路指導で呼び出されるとはホントついてない…しかも、俺が前々から“海都学園高等学校”志望って知ってるくせに呼び出すかぁ?
だけど、色々世話になった先生だから無下にはできなかったんだけどさ…。
まぁ後々、海都学園の美人?教師(柳生先生って言って…まぁ、その内現れるだろう)目当てで俺の事なんてついでだったって事実が判明したりしたんだが、それはまた別の話だ。
そんなこんなで律儀にも先生の顔を立てに来た僕は、10分もたたずに学校を後にした…。
自転車を必死で漕ぎ進める…
坂道の多い街だが必死にアキラの待つ(待っちゃいないか?)県営武道場を目指す。眼下には海岸線が広がっていたりして結構良い景色だったりするんだけど、見慣れた景色でさほど感動もしない。
目指す県営武道場は駅前をちょっと行ったところにある。
つうか寒い!こんな季節に自転車はマズった!しかも全速力!しかも下り坂!耳が千切れそうだ…鼻の感覚もない…ついでに目も痛い。歩道はタイル目なのでついでにケツも痛い。
ブロロロォ〜
…そんな僕の横をバスが通り過ぎていく。
おいおいそういうオチなのかよ!
僕は必死でバスにすがりつく…あっバスの運転手と目があった…運転手は勝ち誇ったような笑みを浮かべてスピードを上げた……。
クソッ事故ってクビになって路頭にでも迷いやがれ〜。ちょっと縁起でもないことを口走ってみた。とたんにバスが止まった…。
“え〜エンジントラブルのため…”
ははっ!バスでエンジントラブルって…何やっちゃってんですか?
僕は勝ち誇ったようにサーッとその横を通り過ぎていく。
しかし、人の不幸を笑う者は……。
…あ、チェーンが外れた…ここまできたらブレーキも…ってことはないよね?
……ね?
僕は無事に武道場まで辿り着けるんだろうか…それは神と壊れた自転車だけが知っていたりする。

僕らの住む海都市(かいつし)は平成の大富豪(成金)である海堂史郎氏が関東の片田舎でしかなかったK県の港町を再開発し首都圏の一大都市へと急成長させた街だ。
町の作りはそうだなぁ…なんか多国籍な感じ?コンセプトは地中海の近代都市らしいんだけど…金持ちの道楽ってやつなのかな?僕から言わせるとゴチャゴチャしてて子供じみてる。駅前の大時計(冗談抜きにバカでかいんだ…正直、町の景観を損ねている)を中心として十字にそれぞれコンセプトの違う通りに向かってるから分かりやすいっちゃ分かりやすいんだけどさ…子供のころ、こんな町があったらいいなぁ、こんな町に住みたいなぁ、こんなデパートとか店があったらいいなぁ…とかとか一度は考えたことがあるだろ?僕はある。まさしくそんな願望を詰め込んだような町なんだよ。
そんなことを考えながら大時計の前を通り過ぎる…なんだかんだ言って結構気に入ってるんだよな、この町を。
大時計といえばアキラ!最近はそんな感じの毎日が続いていたが、今日は武道場にさえ行けば会えるんだ…大時計様大時計様、今日もアキラと会えますように、そしてアキラが無事に試合を終えれますように〜…長年大事に使われてきたものには魂が宿るとか言うから(ツクモガミとか言うんだっけ?)たまにこうやって無意味に拝んでたりするんだ…長年って言っても、大時計ができたのはほんの数年前だから本当に無意味なんだろうな。でも彼女のために(己のためか)何かしている自分が好きだったりする。
人の間を縫うように進む進む…大時計をすぎれば武道場はもうすぐだ…。
大時計の鐘の音は9時になったのを告げていた……


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