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大町ルートは生きている
【フェチ/マニア 官能小説】

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大町ルートは生きている-2

「早くアジトに行け!」
 胸縄を巻いた男が言った。
「はい」
 2人はセンパイなんかじゃない。どう見てもヤクザだ。逆らったら何をされるかわからないと思い、私は恐怖のあまりただ無抵抗で縛られていた。そして体の自由と声の自由を完全に奪われた。もうベンツはいない。東京方面に引き返したのだろうか。車はほどなく1軒の民家の前で止まった。
「コイツを納屋に放り込んで鍵かけろ」
 さっきの男がカズキに言った。
「ハイ!」
 私はカズキに両足を持って担がれ、納屋の奥に乱暴に転がされた。
「まあ俺を恨むなよ。これも仕事でやってんだ。俺、ブローカーだって言ったよな。扱う商品はな、シャブ女に家出女、お前らだよ、ハハハ。明日の朝までそこに転がってろ」
 カズキはそう言うと納屋を閉め、鍵をかけ始めた。あたりが真っ暗になった。それに寒い。まだ3月の山裾だ。上はセーターを着ていたが、下はブーツを脱がされてデニムのショートパンツ姿。両脚がすぐに冷たくなり、震えが襲ってきた。
 一方で怖い男達が目の前から去った安心感からか、ひどい疲労感と睡魔が襲ってきた。私はどうなってしまうのだろう。このきつく巻かれたロープも猿轡も自力ではずすことは不可能だ。私は投げやりになってそのまま睡魔に身を任せた。

「おい、起きろ!」
 お尻のあたりに鈍い痛みが走り、私は目が覚めた。昨日胸縄を巻いた方の男が、私のお尻を思い切り蹴飛ばしたのだ。
「コイツ、まだ寝ぼけてますぜ。ほら」
 今度はもう一人が、お尻のもう少し下の方を蹴り上げた。私はただ転がるしかなかった。その時、カズキが入ってきた。
「コイツを母屋に運んで少し食わしてやれ。いつもと同じでいい」
 私はまたカズキに担ぎ上げられて家の中に入った。普通の民家だった。
 私は4畳半くらいの和室に運ばれ、そこで手足の縄を解かれ、猿轡をはずされた。私は黙ってロープの跡でくっきりと変色した手首や足首をさすった。カズキがパンと水を運んできた。
「食え」
 急に涙が込み上げてきて、私はパンと涙を同時にのみ込んだ。
「お前のオヤジが捜索願を出したぞ。まあムダだがな。お前の転売先教えてやろうか。海の向こうだよ」
「海外?」
 私は震える声で言った。
「中国か東南アジアか、その先は知らね。俺には関係ねえからな。ところでお前のオヤジ、メガバンクの役員じゃねえかよ。身代金吹っかけようかって俺、センパイに相談したんだけど」
「お願い、そうして!」
 私はカズキにすがるようにして言った。
「足がつくからバツだってよ。まあ海外に売っ払えば、安全確実に金が手に入るもんな」
 私はその場で号泣した。
「メソメソしてんじゃねえよ。パン食い終わったら便所に行ってこい。そしたらまたこのロープ、お前にかけるからな」
 カズキの底意地の悪い瞳が爛々と輝いていた。トイレから戻ると、待ち構えていたようにあの2人が分業体制で私の手足を、あのサイザル麻のロープで縛り始めた。休憩時間は10分もくれなかった。麻がなめしてないので、巻かれた胸のあたりがゴワゴワして痛い。両手首はまた後ろに回され、背中の高い位置に固定された。
「おねがいです。ブーツをはかせて。寒いです」
「我慢しろ。日本海はもっと寒いぞ」
 私はその言葉にゾッとした。私の口にはまた猿轡がはめられた。結局ショートパンツ姿で素足のまま縛られ、またカズキに担がれて外に出た。朝の太陽が眩しかった。


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