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大町ルートは生きている
【フェチ/マニア 官能小説】

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大町ルートは生きている-4

「お前なあ、猿轡取り換えるからタオルと詰め物持ってこい」
「わかりました」
 長いロープで両腕と上半身を縛り終えると、今度は両足首だ。
「よし、これで完璧だな。ネエちゃん」
 男は含み笑いを浮かべて私の口を開けさせ、詰め物を吐き出させた。それから新しいハンカチを何枚も丸めて私の口に詰め込み、タオルの猿轡をきつく噛ませた。
「お前、袋被せろ。俺がコイツ詰め込むから」
「ハイ!」
 私、この麻袋に詰め込まれるの? あの男が私を背後から抱っこするようにして、その頭の上からカズキが麻袋を被せた。もう何も見えない。次の瞬間、麻袋の天と地が逆になった。
「お前、脚を折りたたんで入れろ!」
 カズキが荒っぽく私のふくらはぎのあたりを麻袋に押し込んだ。もうダメだ。麻袋の口を誰かが縛っている。
「しっかり縛れよ。大事な商品なんだからな」
「わかってますって」

 麻袋の中は意外と温かかった。急に睡魔が襲ってきた。もうなるようにしかならない。自殺することすらできないのだから。カズキたちの話だと、これからボートに積み込まれ、沖合で北の船に積み替えられ、この麻袋のままどっかの港に荷揚げされるんだわ。すべて自業自得だけど、お父さん、お母さん、ほんとにごめんなさい!
「じゃあな、まあ頑張れや。俺を恨んで化けて出たりすんなよ」
 カズキがヒソヒソ声でそう言って、麻袋を軽く叩いた。とうとう私は麻袋のままボートに積み込まれたのだ。すぐにエンジンがかけられ、ボートが海の上を滑り出すのがわかった。

※注 土台人 北朝鮮諜報機関で使用される用語。在日のうち、北朝鮮出身か肉親が北朝鮮に現存している者をいう。北の諜報機関は土台人を選定して接近し、その親族らの身の安全と引き換えに工作活動を強要する。


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