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「瓦礫のジェネレーション」
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「瓦礫のジェネレーション」-52

目を覚ましたのは陸の部屋だった。あの時のあの部屋。
「美咲さん、間違ってたらごめん。妊娠してる、よな?」
健志が心配そうに覗き込んでいる。
「ばれちゃったか……」
「そりゃ。一応これでも医者の卵だからね。……実は昨日史哉から電話があって病院の前で見かけたとか言ってたの聞いてたから。一応まだ陸さんには言ってない。つか、美咲さん自分の口で言うべきだよ」
「言えないわよ」
「そりゃ怒るのも許せないのもわからなくはないけどさ、でも、そこまで絶対に許せないことか?葉子や尚美とのことは許してたのに?」
ああそうか、美咲はやっと気が付いた。陸も健志も勘違いしているのだ。陸が美奈子と関係を持ったことが美咲には許せず、だから怒って姿を消したのだと。
「違う」
「……違うって?美咲さん、違うってどういうことだよ?」
「逃げたの。私は……」
「逃げたって?……まあいいや。で、産むの?」
「そのつもり」
「そのために留学?」
美咲が答えようとした時、ドアをノックする音がした。
「俺。入ってもいいか?」
陸の声。
「いいっつーかここは陸さんの部屋だろうに。じゃあ俺は外出てるから二人でちゃんと話しなよ」
健志はそう言うと美咲にウインクしてそそくさと部屋を出た。

陸はトレイにミネラルウォーターとおしぼりを乗せて持ってきた。
「具合悪いんだったらそう言ってくれればよかったのに」
「大丈夫。少し休めばすぐ落ち着くから、そうしたらひとりで帰れるから、陸は気にしないでみんなのところへ戻って」
そして沈黙。しばらくして、ようやく陸が言った。
「ごめん、美咲。許してくれなんて俺には言えない。何を言っても弁解にしかならない」
「……ねえ、陸。私、怒ってるわけじゃないのよ。ただ……」
「ただ、何?」
意外そうに聞き返す陸の顔に、美咲はなんと返事をしていいのかわからなくなってしまった。どんなに説明しても、多分陸にはわかってもらえないだろう。「美奈子とのことは終わったこと」「あの夜のことは過ち」と言うだろうし、事実そうなのだろうから。
「……いいの、もう。具合そろそろ良くなったから帰るね」
起き上がろうとしたところで、美咲はまたふらふらとしゃがみこんだ。
「美咲……、頼むからもうちょっと休んでてくれよ。お前にもしものことがあったら……」
陸に抱き上げられて、美咲はまたベッドに寝かされた。
「ちょっとひとりにして欲しい……」
「俺が部屋から出たら、一人で帰ろうと思ってるのか?」
「……そんなことしない。勝手にいなくなったりしないから、ひとりにして」
美咲がそう言うと、陸は頷いて部屋を出た。

廊下に立っていた健志が、陸に声をかけた。
「陸さん、ちゃんと話した?」
「いや……謝るだけは謝ったんだけどな」
(やっぱり美咲さん話してないんだな……まったくこういう大事な話をどうしてしないんだよ)
「ところでさ、陸さん、避妊ってどうしてた?」
「なんだ突然」
「いや、いくらなんでも高校生にピル飲めっていうのは酷かな、と思って」
「生々しいな、健ちゃんは」
「何言ってるんすか。大事なことでしょうが。そういう話したことなかったんですか?美咲さんとは」
「あ、いや……ちょっと待て、お前美咲のことで何か知ってることがあるのか?」
「もし知ってても俺は何も言いませんよ。美咲さんと陸さんがちゃんと二人で話すべき問題だ
「……そうだな、わかった。もう一度話してくる」


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