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くだらない
【青春 恋愛小説】

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くだらない-1

くだらない…

それが俺の口癖。そんな口癖をもつ俺は都内の高校に通う斎藤一真(さいとうかずま)。高校2年生の17歳だ。真冬の肌を切るような寒さのなか公園で煙草を吸いながら俺は友人達から恋愛話を聞いている。他人の恋愛話は気楽に聞けるので面白いのだが、気に入らないことがある。それは性行為に至ったか至っていないかという話。俺も若い男なのだから興味はある。しかし肉体関係の為に恋愛するのか?
それとも恋愛とは性行為にいたるまでの一種のプロセスとでもいうのだろうか?
ただ単純、純粋に愛し合うというのはもう時代遅れなのだろうか…。それとも俺が夢を見すぎとでも?
(わからないな…)
そして友人達との会話も終り俺は家にすぐ帰るのも嫌だったので近くのコンビニによった。立ち寄ったコンビニには同じクラスの女子である三嶋玲子(みしまれいこ)がアルバイトの店員として働いていた。三嶋とは同じクラスで席が隣同士であり腰まで届く長くて美しい艶がある髪が特徴だ。可愛かったので会話したこともあったが、学校で話すというだけの関係だった。コンビニの店内に置いてあるブラックコーヒーを手に取りレジへ向かった。
「よぉ、三嶋。ここでバイトしてるの?」
「うん。先生達には内緒にしててよ?」
「ああ、わかってるよ。そんな無粋な真似はしない」
「ありがとう」
そんな会話を終えると俺はコンビニを出て歩きながら新しい煙草に火をつけた。別に不良ってわけじゃない。ただなんとなく夏休みから吸い始めていた。
「ウザってぇ…」
俺は自分が嫌だった。昔から他人とは一歩引いた関係しか持たなかった。素の自分を見せるのが嫌で堪らなかった。素の自分を見せて嫌われるのも嫌だった。他人から優しくされてもなにか裏があるんじゃないかと疑ってしまう。そんな自分を見せないためにいままで悩みなどがあっても誰にも頼らなかった。そしてそんな自分を変えられない自分が嫌だった。己の人生を振り返り少し後悔した。
(俺って虚しい奴だな…)
口から出る煙草の煙が白い息に混じって空気中に消える。ただ煙草を吸っているときは気楽だった。思考能力が低下しあまり物事を考えないですむからだ。また冬に吸う煙草は空気が冷たくなぜかうまく感じる。そして家に帰りいつも通りに晩御飯を食べ、風呂に入り、睡眠。そんな繰り返しの毎日にも飽々していた

―翌日

目を覚まし学校に登校。昼休みになるとまた友人達と恋愛話をしていた。そのとき友人Aが話しかけてきた
「なあ、斎藤って恋愛話の時はいつも聞いてばかりだよな。お前恋愛とかしたくないの?」
「ん〜、俺は別に興味ないなぁ。なんつうか自分が一人の人間を好きになるってこと考えるとさ、背中が痒くなるんだよ。俺のライフスタイルにもあわないしなぁ。煙草と金があれば俺は生きていけるしさ」
そう言い終わると友人Bが溜め息をしながら発言する
「出たよ。オヤジ発言。とても同じ高校生には思えませんね」
「好きにいってくれ」
俺はこの会話にウンザリしたので一人でトイレに向かった。トイレに入ろうとしたとき近くを通りかかった三嶋が話しかけてきた
「ねぇ、斎藤。煙草すってるでしょ?」
その発言にすこし驚いたが冷静に、そして冷たく俺は返事した
「三嶋には関係ないだろう?」
「関係ないって…。体に悪いじゃん。やめたほうがいいよ」
「俺の体をどう使おうが俺のかって。俺に構う暇があったら友人のところや恋人のところにでもいって楽しい時間をすごしたら?」
俺はありったけの皮肉を込めて発言した。俺のプライベートに関わってほしくないから。そしてこんな醜く精神が歪んだ俺に他人を近付けたくなかったから。
「冷たいやつ。バイバイ」
「はい、さよなら」
三嶋は不機嫌そうな表情を浮かべてるだろう。せっかく心配したのに皮肉の言葉で返されたのだから。別に俺は三嶋との関係がなくなろうがどうでもよかった。いまの友人達との関係も高校を卒業したら自然に消滅するだろう。そんなもんなんだ。虚しさを覚えながら俺はトイレに入り用を足し、昼休みの終了のチャイムが鳴ったので自分のクラスに戻り授業を受け放課後になりまた一日が終わった


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