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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-30

「そういう関係なの?」

 しかし、一番のネックは美奈子らしく、問い詰める声に徐々に力が入りだす。

「いえ、違います」
「なら!」

 すっと出た言葉は自分でも卑怯な言い草と知る紀夫。けれど、それが本心。という
よりも、まだ彼の中の彼女への気持ちが固まっていないのが正しいのかもしれない。

「君は恋人じゃない子とキスするの? 信じられない!」

 小さな体躯の美奈子が立ち上がる勢いで抗議をするも迫力はそれほど無い。

「いえ、その……ただ、綾さんがしたいっていうから……」
「綾のせいにするの? キスを? 君って卑怯だね」

 明らかな侮蔑を含む彼女に今度は紀夫が視線を落とす。
 キスをされたのは事実。抗わなかったのも事実。

 ただ、求めたのは彼女の方。

 それを美奈子は……。

「保健室でもそう? 綾がしたいって言ったから?」

 知っていたらしい。

「あれは、俺から……」
「ならキスだってそうじゃないの?」
「いえ、アレは不意打ちで……」
「もう! 煮え切らないのね……」
「すみません」
「謝ってどうするのよ……」

 そしてため息が交差。続くのは無為の静寂のみ。

「…………」

「………………」

 氷の無いジュースは外気に当てられ温くなっている。飲むと甘さが強くなってお
り、喉がイガイガと痛む。無理をして飲むのは喉に詰まった溜飲でも下げる目的か?

「ふぅ……」

 今飲んだばかりなのにもう喉が渇く。窓を閉め切っているせいで湿度も室温も上が
る一方。それ以上に美奈子の放つ見えないプレッシャーが重苦しい。
 そもそも彼女とはほとんど接点が無い。前々から何かと綾に世話を焼いていたの
と、彼女自身しっかりものなおかげで、彼からすることといえばタオルを渡して受け
取る程度。栄養補給から何まで彼女が自主的に行っていたのだ。

 ――前園先輩、どうして綾さんを?

 綾とは対照的な美奈子。背は小さく、髪もクセ毛が跳ねるのが嫌らしく、少し長く
して二つに束ねている。目は伏せ目がちで横に長く、細い眉に似合っている。胸やお
尻は長距離、フルマラソンの選手のようにしまっており、あまり女性的魅力には恵ま
れていない。そのせいか、あまり目で追うこともなかった。


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