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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-29

 ――きっと俺……。

「……起きてる?」
「はい!?」

 扉の向こうに女子の声。
 携帯は十二時少し前を示していたが、こんな時間に?

 ――まさか里美さん?

 先ほどのヤリトリが思い出される。
 もちろん彼は夜這いに行くつもりなど無い。そもそも綾がいる以前にここはホテル
ではない。防音設備など設計の段階で省かれているであろう場所なのだ。

 けれど給湯室は?

 一階のはずれにある部屋で、特に近くに人気は無い。扉も鍵をかけられることを考
えれば、それなりに……。

 ――俺は……期待してる?

「はい……今開けます」

 扉の向こうにはきっと里美がいる。寝具を片手に寂しそうな顔、それとも真っ赤に
して強がっているかもしれない。「君が遅いからあたしから来た」とか言い出して…
…。
 鍵を捻り、ドアを開ける。

「えっと……え!?」

 今日何度目か分からないが、再度息を飲む。
 扉の前にいたのは里美でも綾でもなく、前園美奈子その人だった。

**――**

「あのさ、島本は綾とどういう関係なの?」

 雨音が小降りになった頃、ようやく美奈子は口を開いた。
 先ほどまでは二人とも正座したまま押し黙り、紅葉の置いていったジュースを定期
的に飲むぐらいしか動作が無かった。

 動き出した時間は意外にも綾について。

 てっきり里美や理恵との関係と部活についてのお小言かと思っていた紀夫にしてみ
れば、肩透かしを食らった気分。

「えっと、どういうといわれましても、綾さんとは部員同士とういか、マネージャー
として悩みを聞く立場で……」

 彼女特有、というよりは思春期なら誰でも大なり小なり感じてしまうこと。その治
療法は少々役得感があるものの、結果を見れば綾の心理的障壁を取り除くこととなっ
たのだ。

「キス。してた……」

 ハーフパンツの上で固めた拳を握る美奈子。

「あ、はい。してました」

 見られていたのなら言い訳も無駄。綾との唇の交歓はあくまでも自由恋愛なのだ
し、先輩だからといってとやかく言われる必要もない。問題は場所だが、彼女以外に
目撃者がいないのなら特にないはず。


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