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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-28

「そうですね、ドキドキしますよ」
「うふふ、そうなんだ。ならさ、夜這いでもしちゃう?」
「はいはい、考えておきますよ」

 適当に頷く素振りをすればつまらなくなって帰るだろう。下手にいい訳をしたとこ
ろで難癖つけられるのは目に見えているのだし。

「ふーん。そうなんだ……」

 しかし、紅葉は別段つまらなそうでもなく、それどころかしてやったりと笑いがこ
み上げている。

「なんですか? 先輩……」
「夜這いされちゃうかもよ? 里美ちゃん……」
「え?」

 ガチャリと扉が開くとそこには里美と綾。綾は明らかにつまらなそうな顔をしてお
り、逆に里美はシャツの裾を目一杯引っ張って視線をどこと無く彷徨わせている。

「あ、いや、これはその、紅葉先輩酷いです! いるならいるって……」
「思ってなきゃ言わないでしょ? 夜這いするなんて……」
「まったく紀夫は節操が無いな……」
「誤解っていうか、罠でしょこれ!」

 醒めた視線の綾に必死でいい訳する紀夫。

「あはは、戸締りするから大丈夫だもん。部屋、鍵ついてるしさ……んじゃさ、おや
すみ。紀夫も変なこと考えちゃダメだよ」

 明らかに変なことを考えている様子の里美は二人を待たずにさっさと行ってしま
う。

「あらら、里美ちゃん照れちゃって……」
「大丈夫ですよ先輩、里美はあたしが守りますから。この節操なしのヤリチン野朗か
らね」

 綾は吐き捨てるように言うとそのまま里美と同じ方向へ行ってしまう。

「綾さん……」
「あらら、複雑ね……」
「もう、先輩酷い!」
「うふふ、大丈夫よ」
「何が大丈夫ですか!」
「だって二人とも君に気があるでしょ? その気になったら三人ですればいいじゃな
い?」
「な!」
 笑顔満面の紅葉に対し凍りつく紀夫。しばしの間、雨音すらも紅葉の哂い声に聞こ
えた。

**

 身体は充分に疲弊している。けれど眠れないのは雨音がうるさいからだろうか?

 ――里美さん。結局聞けなかったな。

 一番の理由は久しぶり、といっても二日ぶりにあった里美せい。そして紅葉のせ
い。
 彼女が自分の何を気にしていたのか? 紅葉曰く、「君にきがある」。それらが絡
み合い、渇く心をむず痒くさせる。

 ――俺、もしかして里美さんのこと……。今日まで俺は里美さんをどう思ってたの
かな? だってさ、守るとか力になるって……そういうの好きじゃなかったら出来な
いよな? それとも憧れ? いや、そういうのは無いよ。だって別にスポーツ見ない
し……。でも里美さんの走った姿は綺麗だった……。

 高総体の決勝を走った彼女の姿は今も覚えている。
 スラリと伸びた足が大地を蹴り、後を寄せ付けず、果敢に前を目指して加速する
姿。ショートカットの髪が風になびかせていた。
 そして一人雨の中立ちすくむ彼女。
 強がりで構ってほしい駄々っ子のような彼女が自分に寄り添ってくれたのが嬉し
かった。


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