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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯3/トレジャーハンティング-1

…これほどまでに彼女に惹かれる理由は何なのか?
…これほどまでに彼に惹かれる理由は何なのか?


放課後に彼女を探すのは…もうすっかり僕の生活習慣になっていた…
これまでに誰かに好意を寄せたことなんて数えれば片手では足りないだろう…
そら男だしさ…人間だしさ…お年頃だしさ…
だけど彼女は…彼女に対する感情は今までと違う気がするんだ。
一目で感じたインパクト…
それは今までに感じたことのないものだった…と思う。
そう思いたいだけなのか?

彼女は今まで出会ってきた人たちとは何か違う…
彼女が有名だから?
彼女が綺麗だから?
彼女が○○だから?
彼女が××だから?
多分、僕が彼女に惹かれたワケは…僕が彼女を気にするワケは…僕が彼女を探してしまうワケは…そういう事だけじゃないんだと思う…
それは…人に対して初めて感じる感覚…
光り輝くような…
大切にしなければならないような…
何か、そんな感覚…
僕がそう感じたいだけなのか?


「ぅ〜さむっ!」
季節は冬真っ盛りな1月某日…
さすがに寒さが身にしみる…
僕はいつものようにアテもなく彼女を探していた…
彼女を探すのは…不思議と苦にならない。
苦にならなくても不安と隣り合わせではあるが…
ワクワクとドキドキが隣合わせ…
期待と不安が表裏一体…
そう…宝探しみたいなもんかな…

少し歩き疲れた僕は、自販機で適当な飲み物を購入すると、駅前のベンチに腰掛けた。


近頃…気がつけばいつも彼を探しているような気がする…
あの日、彼と出会ってから…どれくらいの時間を共に過ごしただろうか…
思えば、こんなふうに同年代の異性と過ごすのは初めての経験だった…
幼い頃から…父や兄のように“強く気高く”ありたいと思っていた…
だから日々の鍛錬は欠かしたことがなかった…
それを何よりも優先させてきた気がする…
しかし、彼と出会ってからは何かが…私のなかの何かが…
うん、そうなんだ…
気がつけば…今日もまた彼を探している…
鍛錬を後回しにしてまで…
あと五分…あと十分…と


(もう四時か…)
ベンチに腰掛けて一時間ほど…
さすがにこの時期の寒さはこたえる。
「くしゅっ」
(う〜さむっ!今日はもう…帰るかなぁ)
だけど…もしかしたら…そんな言葉が頭をよぎる…
こんなことはもちろん何度も経験している…
だけど…もしかしたら…
(よし!あと十分!)
僕は再び自販機に向かった…
「朝比奈くん…?」
寒くて縮こまっている僕を誰かが呼びとめる…

「おまえもタフだねぇ〜」
僕らは駅前の喫茶店に場所を移していた…
声をかけてきたのはカイとさくらちゃんだった…
「すごく寒そうなんだけど…まさか、あんな所に何時間もいたの?」
「はは…まぁね」
心身共に冷えきった僕に、暖かい飲み物が染み渡る…
「しかし何でまた路上なんかで?」
「いやぁ…実は…」
「なに?連絡先も知らないって?」
「はは…そうなんだよ」
「それで良くもまぁ…そんなに竜童児がいいのかね?オレよりも?」
「ははは…人前でそういうジョークはやめい!」
「オレとの仲は遊びだったんだな…」
「おいおい、オレが笑ってるうちに止めとけよ〜」
そんな僕たちの様子をさくらちゃんは笑って見守っていた…
その笑顔はなんていうか…いかにも作り笑いな感じで…
「どうかした?」
「…ううん。なんで?」
「いや…なんというか…つまらなそうというか…」
「そんな事ないよ!もっとのろけ話聞きたいな〜」
「ははは…のろけ話ねぇ…」


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