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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯2/近くて遠くて-2

「大変だったようではあるが…」
「まぁ確かに少々大げさだよな…」
「創造主が遊んでいるのだろうか?」
「そのネタはタブーだぜアキラ…」
「う…うむ」
それからそれから〜
「しかし…アカネが家事上手とはな…」
「以外だろ?」
「うん…」
僕らは場所を公園に移していた…
何故かというと…
『グゥ…』
彼女の可愛い腹の虫がまた鳴った…
そう、そうなのである…
「そう急かすなって…あのベンチでいいか?」
「うむぅ…」
彼女は顔を赤らめ俯きながら後をついてくる…
(ふっふっふ…可愛いヤツめ)
まぁそんな言葉はもちろん、脳内だけに留めておいて口には出さない…
(俺も分かってきたよなぁ〜)
とりあえず自分で自分を褒めておいた…

僕らは池の畔のベンチに並んで腰掛ける…昼間なんで陽も当たりちょうど良いロケーション…
「ではどうぞ…」
彼女に弁当を手渡す…
「あぁ、ありがとう」
彼女は何かかしこまっている…
「そんな大したもんじゃないけどな…召し上がれ。」
「うん…」
弁当のフタに手をかけるアキラ…
(何故にそんなにかたいのよ?)
「…見事なものだ…」
第一声がそれ…
「うん…良い」
第二声がこれ…
「うん…これも良いな」
第三声がこれで…

「御馳走様。」
「お粗末様。」
って言っても、一口ごとに感想を述べていく彼女の様子を見入っていたため、僕は一口も食べていない訳だが…
「なんだアカネ…食べないのか?美味しいのに…」
物欲しそうに僕の弁当を凝視する彼女…
「まぁ…俺が作った訳で…喜んでもらえて嬉しい訳で…って食うか?」
「いいのか?」
彼女の綺麗な瞳はキラキラと輝いていた…
弁当箱を手渡すとこれまた一口一口噛みしめながら食べ始めた…
彼女は結構大食いらしかった…

(まぁ、こんだけ美味そうに食べてもらえたら作った甲斐があったってもんだよな)

「ふぅ…美味しかった…うん、美味しかったぞアカネ!」
「ありがとな…そんなに喜んでもらえると俺も嬉しいよ」
「私は放浪癖のあるアカネのご両親に感謝せねばならないな」
まぁ…そのなんだ…彼女は俺の両親の仕事について…あまり良く理解していないわけだな…
「つうか褒めすぎだって…世の中の料理人を敵にまわしちまうよ」
まぁ、まんざらでも無い訳なんだが…
「そんなに気に入ってくれたんなら、また作ってやるよ?」
「うん…そうだな…その機会を楽しみにしておこう…」
彼女の連絡先を知る口実になるかなぁと思ったりもしたが…彼女の態度は変わらなかった…
(彼女はホントのところ、俺のことをどう思っているのだろうか?嫌われてはいないだろうけど…)
知りたい…知りたいが…聞いてしまったら何かが確実に変化する…
彼女との関係が壊れてしまうかもしれない…
嫌だ…
ほんの数ヶ月の付き合いだが、彼女との時間は僕にとって、かけがえの無いものになろうとしていた…
「では…今日はこれから練習があるので…」
「うん…また会おうな」
最後に向けてくれた彼女の笑顔が、そんな僕の不安を和らげてはくれたのは言うまでもないが…

ふと考えるときがある…
普段の彼女はどんななのだろうか?
僕は彼女の事を…実はあまり知らないんじゃないだろうか?
僕の側で笑ってくれる彼女…
僕の側で話してくれる彼女…
普段の彼女は誰とどんな話をするのだろうか?
誰にどんな笑顔を見せるのだろうか?
そんな事を考えだしたら、ちょっと不安になる…
もっと彼女を知りたいから…
彼女と二人の時間はあまりに短いから…
まだ始まったばかりだから…
この不安はなんなのだろうか?
それに気付くのも、何か不安だ…
もっと彼女のことが知りたい…
もっと彼女と一緒に居たい…
もっと彼女の笑顔が見たい…
だから今日も僕は走る…
彼女を探して走る…走る…
立ち止まっていたら追いつけないから…
立ち止まってしまうと不安が僕を満たしてしまうから…


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