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操れるかも! 操られるかも!?
【その他 官能小説】

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操れるかも! 操られるかも!?-12

俺は美奈子の言葉を信じ難く、確認のため親父の寝室に
行ってみたがそこに親父の姿はなかった。
 美奈子の言うところでは結構以前から親父は夜中に隣家
に行っては由希子さんと関係を持っていたらしい。
 そして美奈子に誘われる形で、俺達は美奈子の家の玄関
から中に入り、喫茶店へとつながる扉の前にやってきた。

「ま、まさか喫茶店の中で!?」
「……うん。聞こえない?」
 俺は扉の向こうへと耳を澄ます。かすかに女の声が聞こ
えてきた。
「……あ……ん……」
 俺の心臓が大きく弾み、喉が乾くのを覚える。
 すると美奈子が大胆なことを言いだした。
「いい? 静かにしてね……そ〜っと中に入るよ」
「お、おい!? 見つかったらどうすんだよ!?」
「大丈夫。見つかったことないから」
「……しょっちゅう覗いてんのか?」
「……別にいいじゃない」
 美奈子が頬を膨らませる。
「……ま、まあいいけどな……」
「あの二人はね、いつも喫茶店の入り口付近の窓際でして
るの」
「……誰かに見られたいとか?」
「違うわよ。だいたいシャッター降りてるから外からなん
て見えないもん」
「じゃあなんで?」
「たぶん私の部屋まで声が届かないように遠いとこを選ん
でるんじゃないかな?」
「お前の部屋って二階の反対側だろ? 喫茶店のどこでや
ってても全然聞こえないと思うけど」
「そんなもんじゃないの。そりゃ大して違いはないと思う
けど気分的に随分違うものなの」
「……そんなものかな?」
「そんなものなの……だから、中に入ったらすぐカウンタ
ーに隠れるわよ」
 俺は昔からよく知ってるこの喫茶店の内部を思い浮かべ
る。この店のカウンターは目の前の扉を入ってすぐ右横に
ある。なるほどあそこなら二人ぐらいの人間なら余裕で隠
れられる大きさはある。
「なるほどカウンターのとこまでなら、喫茶店の入り口付
近からは気づかれずに行けそうだな」
「でしょう? じゃあ行くよ!」

 美奈子は音をたてないようにそっと扉を開ける。かすか
にしか聞こえてなかった声が急にはっきりと聞こえだす。
「……あっ、ん……うっ、うぅん」
 どうやら声の主はなるべく声を押し殺そうとしているよ
うだ。
 扉を人が屈んだ状態でなんとか通れるだけ開くと、美奈
子は静かに且つ素早く扉の向こうへと忍んでいく。
 俺は普段のどこか間が抜けている美奈子とのギャップに
戸惑いながらもその後ろをついていった。
 店の中に入った俺は静かに扉を閉め、既に美奈子が隠れ
ているカウンターに潜り込む。
 カウンターまでたどり着くことに成功した俺と美奈子は
そうっとカウンターの端から店内を見渡した。
 喫茶店の中は照明が窓際の一角だけ明度を落としてつけ
られ、それ以外の部分はおおむね暗くてよく見えない。し
かしそれで充分だった。肝心なのは窓際の一角で蠢く二人
が見えるかどうかなのだから。
 そして、それは少し暗いとはいえはっきり見てとれた。

 まぎれもなくその二人は親父と由希子さんだった。
 由希子さんはテーブルの上に腰をかけ、親父はその前を
塞ぐように立っていた。
 由希子さんの下半身は何もまとっておらず、親父のズボ
ンを履いたままの腰と密着して、円を描くような動きや縦
に早い動きにお尻が応えて揺れる。
「あっ、あっ、あっ……ああっ」
 由希子さんは目を閉じ腕を親父の背中に回して、俺の聞
いたことのない切羽詰まった声を、できるだけ抑えようと
しながら発し続けている。
 親父の方は斜め後ろからの姿なので表情などはよくわか
らない。しかし、腰の動きに合わせて時々かすかな声を洩
らしているのが俺の耳に届いてくる。

「あっ、うぅ……くぅっ、あっ、あっあっあっ、ああっ」
 なんとかこらえようとしていた由希子さんの声は我慢し
きれずにはっきりとした喘ぎに変わる。
 二人の動きはどんどん速さと力強さを増していく。

 カウンターの端で中腰で息を潜めていた俺が、息使いを
感じてふと目の前でしゃがんでいる美奈子を見ると、丸め
た背中越しに舌を少しだけ出して乾いた唇の端をなめてい
る横顔が目に入った。

 俺は幼さの残る美奈子の顔に初めて女の色気を感じた。


 第4話 おわり


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