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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-第八話-5

「結局服も、人も、他の何事も、一脈相通じるんだなーと」

「なるほどねぇ。ほんと勉強になるわぁ。………しかしさ、所々理解出来ないというか…難しい言葉が…」

「あぁ、漢詩とか故事成語ね」

「どこでそんなの勉強したの?」

「んー…趣味でそういう本買ったから」

「渋っ…」

「でも先人の箴言から学ぶことは多いにありますのよ。衣食住その他全てが今とは比べ物にならないほどに大変だった時期に千恵を絞って生き抜いてきた先人達の言葉は、重みがあるというか。現代でも全く色褪せず、寧ろ現代にこそ必要な要素がある気がして。俺のこの両腕の言葉もそうだし」

「ふーん…。なんか私も興味持ってしまいましたよ」

「ほんと?てか珍しいよね、パツ子」

「え、何が?」

「いや、俺のこういう話聞いてくれたり、興味持ってくれたりさ」

「だって単純に面白いしさ、なんか為になるしさ。鷹丸くんといるとね、感化されちゃうんだ。他の友達だとあんまりそういうの無いんだけどね」

「ふーん。なんで?」

「…なんで、って?」

「いや、何故俺といると感化されるのかなーと」

「んー……」



まさか“好きだから”とは言えないよなぁ…。
そんな空気でもないし…。



「鷹丸くんのこと尊敬してるから、かな?」

「んー?」

「だからさ、鷹丸くんは私の知らないような…というか私の周りも誰も知らないようなこと知ってるし、自分で道を見付けて努力してるし。そういう人は、やっぱり尊敬出来るからさ。刺激受けるよ」

「でも逆から見ればさ、パツ子は俺の知らないこと知ってるだろうし、パツ子はパツ子なりに道を見付けてるんだろうし。俺がそうやって尊敬していただけるなんて嬉しいすけど、その実俺なんてほんと普通の野郎なんだから。そんな特別尊敬されるような人間じゃないっすよー」

「そんな謙遜しなさんな」

「いや、事実だから」

「んー…………でも…………」



でも…………



「私にとっては、特別だからさ…」

「え?それどういうこと?」


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