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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-1

この学校に入って約一ヶ月が過ぎた頃。
朝のHRで担任の秋先生がいきなりこんなことを言い出した。



「えーっ、いきなりだが明日このクラスに転校生が来る。明日の朝のHRの時に紹介するからなー」



当然のことながらクラスはざわついた。
なぜこのタイミングなのか。
男なのか女なのか。
憶測は広がるばかり。



「ねーねー、転校生だってよー。楽しみだねぇ」



私の前の席の大海(おおみ)だ。
その名の通り大きな海の如く広い器の持ち主で、髪色は明るかったりスカート丈は短かったりするけれども、見た目以上に真面目でおおらか。
私は窓際最後尾の席なのだが、大海とは席が前後のために一番最初に友達になった。
以来いつも一緒にいる。



「そうだね。でもなんでこのタイミングなんだろう。あっ、てか大海、前髪切ったっしょ」

「あっ、気付いた?伸びたからねぇ、邪魔だったらさ、セルフカットっすよ」

「いいじゃーん、かわいいよ」

「あざっす。すくの髪も切ってあげようかー?」

「えーっ、私はいいよー。だってまだパッツンだし、これ以上切ったら前髪無くなっちゃうもん」

「そー?それでもすくはかわいいと思うんだけどなぁ」



“すく”とは私のあだ名。
名前が救(すくい)だから。



「おい大海、救、もう授業始まってるからなー、静かにしろよー」

「はーい」




翌日。

予想通り、クラスは朝一から浮ついていた。
噂を聞き付けてか、HR前の僅かな時間を使って他のクラスからも何人かわざわざ見に来ている。
いつになっても、転校生ってのは話題の的だ。

そして気付いたのだが、私の机の隣に真っさらな机が一つ追加されていた。
昨日は無かったのに。



その時、秋先生が入って来た。


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