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ダチ的信頼感
【青春 恋愛小説】

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ダチ的信頼感-7

7.バカみたい

「はい、これ。プリント」
森屋がカバンからキレイに四つ折りにされた学級通信をだした。
「ど、どうも」
お礼を言うものの、現実感がない。
夢でも見てるんじゃないだろうか?
森屋が浜崎家お客様専用ティーカップ(1セット¥2,500)で紅茶を飲んでいる。
しかもオレの部屋で二人っきり。
「…風邪、大丈夫なの?」
森屋が小さく言った。
「う、うんっ」
オレは勢いよくうなずく。
「よかった…」
「…え?」
「だって…風邪ひいたの私のせいでしょ?」
「……」
「追いかけてくれたの気づいたけど…ごめんね」
森屋が少し笑ってみせた。
つまりそれは……。
「宮田のことが…」
うなずく代わりに森屋が目線を落とした。
手持ちぶさたにスプーンで紅茶をかき混ぜている。
わかってはいたけど…。やっぱり衝撃はデカい。
オレがそのまま何も言えずにいると、
「バカみたいだよね…」
独り言みたく森屋がつぶやいた。

好きな人が別な誰かを好きなサビしさ。
会えないときにはイヤでも考えてしまうのに、実際に会うと上手く話せなくなる無力さ。
忘れたくても忘れられないツラさ…。

「オレ、協力するよ!」
とっさにそう言ってしまっていた。
何言っちゃってんのー!もう一人のオレがどんどん青ざめる。
だけどオレは止まらない。
「宮田は…かわいいから野島のことが好きなんだよ」
「かわいいから…?」
森屋はきょとんとしている。
「そう!野島より森屋の方がかわいいんだから、宮田は森屋をいつか好きになるよ!」
「そうかなぁ…?」
「絶対好きになるって!!」
「……」
森屋がオレをまっすぐ見た。
「…そうだったらいいのになぁ」
涙をこぼしながら、笑った。

よかった、笑った。でも…。
協力するなんて言っちゃって、一人になったら泣くな、これ…。


ほんと恋ってバカみたいだなぁ…。


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