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ダチ的信頼感
【青春 恋愛小説】

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ダチ的信頼感-3

3.波乱の年明け

クリスマスは奇跡が起こるわけもなく、ヤマサキのケーキとスーパーのチキン食って終わった。
夏ほどわくわくしない冬休みが始まって、あっという間に年末がやってきた。
「お正月が終わったと思ったばっかりなのにねぇ」
母さんが紅白を見ながらつぶやく。
「おいおい、去年も言ってたぞ」
父さんのツっこみにオレも心でツっこむ。毎年の間違いだよ。
そのまま自分の部屋に戻ってロープレをやってる間に年が明けていた。
やべ。去年と同じだ。
急いで下に降りて、のびきった「年越しましたそば」を食べて、家を出た。

「浜崎、遅せーぞ」
去年と同じ神社前に清水と小早川がいた。
「悪りぃ……ん?なんだよ、宮田まだじゃん」
「バカ。行くぞ」
歩き出す二人。
「え?」
「野島と行くんだって」
あ、そうか……。
「でも、小早川は」
「オレは今日の昼にまた来んの。親厳しいらしくてさ」
「まあ、フツーはそうだよな」
経験者談を清水が語る。
「なんてったって野島だしな。そういや去年は三年の西田と来てたよな?」
「お〜、懐かしい。でもさ……」
会話に入れなくなって、人混みのせいにして後ろを歩いた。
去年とは違う。目には見えない何かが確実に違っている。
「あ、宮田たちだ」
「どこどこ?」
「たこ焼き屋の前」
知らない背中の合間に、二人がちらっと見えた。
野島は着物で、髪型も違ってて、たぶん化粧もしてた。
宮田はそれをちょっと斜め上から見てて、たまに幸せそうに笑ってた。
見えないけどきっと、手とかつないでたりするんだろう。
一昨年から着てるピーコートを脱ぎ捨てたい気分になった。
「宮田のやつ超ごきげんじゃん」
「これはただじゃすまされねーな」
「やめろって…」
やっとでた言葉は、半笑いで力がない。
勢いよく走っていった二人に続いてオレも走る。
「宮田ーっ!」
流れにまかせてプロレス技をかけて、いつも通りに戻れた、そう思ったとき。
参拝客の中にこっちを見ている森屋をみつけた。

「あ……」
気づかなければ、よかったと思った。
そしたら五円玉投げた後に、途方にくれるこてなんてなかったんだ。

森屋は、オレじゃなくて、宮田を見ていた。


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