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雨が雪になる頃
【青春 恋愛小説】

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雨が雪になる頃-2

「ヤバいんじゃん?」
「ヤベーな」
大雨だった。それも雨、という範疇ではなく、スコールとでもいうかのごとく激しい雨だった。
「あたし傘持ってない!」
「俺持ってる〜☆」
学バンの中から折りたたみの傘を出した准樹。
「げっ、まじだ」
そしてそれをあたしに差し出して言う。
「使っていーよ」
「えっ?いーよ。准樹使いなよ」
「…人待ってるから。そいつ傘持ってるし」
「准樹?」
あ…。
さっきの電話の声だ。
「里菜、お前傘持ってたよな」
「うん、あるよ?」
「悪り、入れて?」
「いいけど…」
「さんきゅ!」
…逃げてしまおうか。
「ほら、コレ使えって梨紅」
心臓の動きが段々速くなってきた。
「…いらない…濡れて帰るからいい」
それだけ言ってあたしは外に走った。

その気もないのに優しくなんかしないで。
「准樹のバカ!」
「…誰がバカだ」
声がして、後ろを振り向くとさっきの折りたたみ傘をさした准樹が立っていた。
「こんな雨ん中走ってく奴の方がバカだろ」
「…うるさい」
雨が降っててよかった。
あたしが涙を流してる事に気付かれずにすむから。
「里菜が煩いんだよ、持ってってやれって」
ここまできて尚彼女の名を口にするか。
「おら、傘持てよ。早くしろよ、里菜待たせてんだから」
そんな事をブツブツと言いながらあたしの手に傘を握らせると、向こうに走りながら、
「気を付けて帰れよ」
と言って雨の中に消えていった。

准樹に彼女か…。
電話の相手はもしかしてってゆー自分の考えが的中しちゃったのもなんだかなぁ…。
今年もクリスマスは1人だなぁ……。

雨はその晩、雪へと変わった。


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