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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-3

うちの学校の所謂“ヤンキー”ぶってる人達の比じゃない。
怖いとか恐いとかそんなんじゃない。


近付いたら消される。


そんな雰囲気。


そもそもタメなの!?
年上じゃなくて!?
てか私の隣に新しい机があるってことは…彼はこの席!?



私があれこれ思考を逡巡させている間、彼もクラスの空気を読んだのだろう。
続けて話し出した。



「えー……念のため言っときますけど、皆さんとタメっす。まぁ外見はこんなんすけど中身は普通なんで」



彼の言う普通って何!?
彼の発言でクラスはますます混乱させられた。

続けて秋先生が話す。



「お前らー、せっかくだから多岐野に質問とかあったらしても構わねーぞー」

「………………」



クラスに沈黙。
そりゃそうだ。
何を聞けと…?

その時、男子が一人手を挙げた。

日野だ。



「おっ、じゃあ日野」

「はいっ。えーっと、日野敬弘(たかひろ)っていいます。よろしくっす!早速質問なんすけど…」



日野は自身をイケメンと思い込んでいて、且つ自分がクラスの中心的存在だとも思い込んでいる。
が、それは本人のみで、私も含めて他の人達はそう思ってはいない。

おまけに彼はいつもウケを狙った発言を飛ばし、クラスに冷笑の雨を降らせる、雨男。
“空気を読む”という言葉は彼の辞書には無いのだろう。

一ヶ月もしないうちに早くも皆に飽きられてしまったが、本人は気付いていない。

どうせこの質問もウケ狙いだろ、そんな発言前から早くも呆れられた空気と、逆にそれに対して多岐野くんがキレやしないか、そんなピリピリした空気が混然となって、教室内は一気に曇り空。
流石は雨男だ…。



「あのー、初対面でこの質問は失礼かと思うんすけどー、今彼女いるんすかぁ?あと今まで何人と付き合ったことあるんすかぁ?」



教室に雨が降った。
皆傘を探している、そんな感じがする。

日野のセンスにはほとほと呆れる。
狙ったつもりなんだろうが、全力でリンクを滑走しちゃってるじゃないか。
綺麗にスベっている。

こんなことを“どう!?俺面白くない!?”的な自信に満ちた笑顔で言うもんだから、さらに後味が悪い。

対して注目の多岐野選手、どう出る!?


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