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最後の夏。
【青春 恋愛小説】

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最後の夏。-1

あたしは佐波亜希(さわあき)野球部のマネをやってる。
…もう3年だから県予選が終わったら引退になる。
『なぁ〜に考えてんのさ!』
そういってあたしに話しかけてきたのは、結城紗弥加(ゆうきさやか)同じ3年。いままでマネは2人でがんばってきた。
『ねぇ紗弥加〜…もう…引退だねぇ…。』
『なにしけた顔してんのよ(汗)引退が延びる可能性だってあんだから…。』
そう。延びる可能性だってある…あるけど。優勝以外には…ない。
『引退が延びるといいんだけどねぇ…』
あたしは半ばあきらめていた。
『ふぁあぁ〜…』
とあくびをしたとき。
頭をたたかれた。
『…!いたぁ〜…。なにすんのよ!忠広っ!』
山谷忠広(やまたにただひろ)はクラスメートで背番号2番のキャッチャーだ。
『おまえがたるんでるから喝をいれてやった。ありがたく思え。』
『ふざけんなぁー!!』
睨んでも、忠広は余裕の笑み。
(…むぅ。悔しい。)
あたしが膨れていると、
『マネ集合!』
監督からの合図。あわてて駆け寄った。『え〜…と。マネは4人…か。これから仕事を分担するからやれよ〜。まずくじを引け。』
いわれた通りに引いたら、『お。赤は結城か。一番楽だぞ(笑)職員室いって氷もっともってこい。』そういい、『あと…そこの青2人!』
どうやらあたし以外のマネのことだ。
『いまから買い物にいくから、ついてこい。』
…あたしは?
『先生、あたしは?』
先生はニヤリと笑って、『いまから部員が走りに行くからチャリでついてけ。』といった。
『えー!!』
地味に一番つらい仕事…。
『各自開始っ!』
そう監督がいったときに、紗弥加が、
『よかったね。忠広くんと一緒で。』
といってきた。
『んなわけないでしょ!』
『亜希はわかりやすいの!がんばってね〜。顔真っ赤なあ・き・ちゃん♪』
そういって去ってしまった。


そう。あたしは忠広が結構気になっている。女子でも忠広のことをくんづけして呼ばないうちの数少ない1人だ。
でも…いま告っても振られるだけだし…かわいくないし…。それに忠広が告られてたのみちゃったし。しかも振った時の理由が『野球でいっぱいいっぱいだから。今は女はいい。』だよ!?あの子すごいかわいかったし…。もうだめじゃん…あたし…。

『おい。』

『ふぇっ…?』
なんともいえないアホな返事を返してしまった。
『ぶっ…あはははははっ!!!!!!』
忠広大爆笑。
『やめてよっ。恥ずかしい!』
間違いなくあたしはいま顔真っ赤だ。
『…つき合ってんの?』
いきなりピッチャーの尾崎雄一(おざきゆういち)がつぶやいた。
『はぁ!?』
と2人声をあわせていってしまった。
『なにいってんだよ!俺女興味ねぇし!』
と忠広が力いっぱい否定した。

あれ?なんでこんなに心が痛むんだろう…。
そう感じたけど、あたしも『そうだよ!そんなわけないって!走る回数増やすよ?』と地獄のスマイル(?)でいったらみんな黙った。



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