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エリザベス・悲劇の人形たち
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エリザベス・悲劇の人形たちY-3

 国の経済界に影響するぐらい絶対な権力を持つ彼は、無類の女好きでもあった。

 金と力で多くの女性を虜にした彼だが…

 正直、彼を満足させる最高の女性はなかなか巡り会えなかった。

 そこで彼は理想の女性を抽象化すべく、等身大の人形を持つ事を考えたのである。

 高いカネをつぎ込んで、当時の最高レベルの人形制作師に作った人形。

 自らの理想の自分の姿を徹底的に表した、生きた最高芸術品。

 それがエリザベスだ。

 彼はエリザベスを…

「ワガママ且つ、傲慢だけど…気品に溢れ、最も清らかで美しいレディ人形」と褒め称えて、永遠のパートナーとした。

 当時のフリーラムランド王室主催の舞踏会で、ドレスに着飾ったエリザベスを見て出席者の誰もがその美しさに驚嘆したと言う。

「…大体、こう言った経緯かしら?」

 一点を見つめたままジッと聞き入っていたシェリーは、しばし考えた。

「それ、どこで調べたのかしら?」


「3年前にあのコを買った時、取り扱い説明書の中に書いてあったわよ」

「っそう」

「まさか、違うって言うんじゃないの?」

「そのまさか」

「え?」




 北の魔界…

 別次元に存在する暗黒の世界である。

 グロリアスは1人、ニュラードと言う街を訪れていた。

 多くのブラスト族の住人たちで街は結構、賑やかである。

 市の中心街…

 石畳のメインストリートに数多くの屋台を並ぶ市場をトナカイロバ車で通り抜けて向かった先は、大きな質屋である。

 子供人形たち28体を売りに出したけれど…

 どのくらいで売れるだろうか?

 ケースベッドごと運び込まれた子供人形たちは、質屋で徹底した鑑定が行われた。

 目を覚ました子供人形たちは、自分たちが母親の元から連れ出された事を知り、かなりのショックを受けていた。

 皆、激しく泣きじゃくって、落ち着かせるのが難しかった。

 鑑定の際は子供人形たち全員に魔法を掛けて夢遊病者状態にしたのだ。
 鑑定は…

 各人の脳から魔術を使って記憶を全て探ると言う方法で行われた。

 そこから、今までの生活環境、語学力、知識の習得の度合いが分かるのだ。

 葉巻を吸いながらブルーレッドは、鑑定書と調査書を見て結果を語る。

「全部でざっと、5千ってトコだな」

「たったの5千ッ!?」

 グロリアスは唖然!

「何だよ? この俺様に、文句でもあるのか?」

「姉さんは3百万で買ったと言うのに、たったこれっぽっちじゃあ!」

「安いって、言いてえんだろう?」

「人形1体でも買えない値段じゃない! もっと高くしてよ!」

「ダメだな」

「どうして?」

「あのガキどもがよ、まだ新品だったなら高く買ってもイイんだけどな」

「新品だったなら?」

「新品なら…まだ何も躾はしてねえし、世話するヤツの性格や環境に影響されていねえからな。
 その方がよ、色々な可能性があるから、高い値打ちが付くんだ」

「じゃあ、あのコたちにはもう、何の値打ちもないって事?」

「ハッキリ言ってな」

「でもすっごく、可愛いじゃなーい? ちっちゃくて、目がクリクリしてて。笑顔もステキよ」

「可愛いだけじゃあ、ダメなんだよ。中身も大事なんだ、中身もな。
 読み書きや簡単な計算は全くダメ。頭は悪いし、言葉づかいなんか…未だに幼児口調から抜け出せねえでいやがる。
 母親人形が甘やかして、ただ食わせて遊ばせていた結果だ」

「愛情はとっても強いんだけど」

「だけど…母親として、やるべき事はやってねーだろう? 動く人形っつーのは、あんな小さなガキどもでも…一年も経てば大抵の事は覚える」

「親が何の教育も躾もして来なかった。
 やはり、そこがネックなんだ」

 ある程度は予想はしていたが、期待が外れてグロリアスはガックリと肩を落とした。

 子供人形を高く売り、今までの無駄に消えた分を取り戻そうしたのに。

 ブルーレッドはズバッと言う。


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