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エリザベス・悲劇の人形たち
【ファンタジー その他小説】

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エリザベス・悲劇の人形たちT-1

 フリーラムランド…

 極寒の某地方に位置する自然豊かな国であり、様々な種族がそれぞれの地域で平和に暮らしている国でもある。

 この国では、一部の裕福な人々が人形たちを動く玩具やペットとして飼っている。

「人形をペットとして飼う? 動く玩具?」

 こんな疑問を持つかもしれない。

 実はこの国には、自ら生命や意思を持ち、
 動いたり喋ったり、食べたりする生きた人形たちが存在するのだ。

 大小種類様々で、ハッキリ言って人形の姿をした生き物と言ってもイイだろう。

 人形保護法の下、人形たちはそれぞれの家庭で大事にされている。

 エリザベスもその1体で、マルセル・ハーレスの屋敷で大事に飼われていた。

 エリザベス…身長158センチの等身大人形。

 小さな顔にカールがかった金色のロングヘヤーの頭髪。

 バッチリとした眼。

 キリリと引き締まった口元。

 スラリとした体格。

 その美しい姿で、多くの人形愛好家たちを魅了している。

 中には、人形の譲渡を強く望む者たちがよく名乗り出て来るけど…

 マルセルは頑として、譲渡希望者の要求は受け入れる事はない。

 娘キャリーを6年前に亡くし…

 その1年後に夫のルークと別れて1人ぼっちとなった今、マルセルにとってはエリザベスが唯一の家族である。

 だからマルセルは、エリザベスを溺愛し大切にしていた。

 エリザベスにとっては、この上無い幸せ身分だろう。

 専用のお部屋で豪華な家具に囲まれ…

 高級な衣装を着て…

 毎日腹一杯、美味しい料理が食べられる。

 まるで良家の令嬢か、城の王女様気分である。

 だが…

 これだけ裕福なエリザベスも、全て満足しているワケでなかった。

 ずっと1人ぼっちのエリザベスにとって、人形仲間がいないのが満足していない理由だった。

 寂しくて、いつも泣いているエリザベスにマルセルは言う。

「そんなに寂しいのなら誰か、お友達でも紹介してもイイけど?」

 エリザベスは手元に置いていた1冊の本を見せた。

「コドモ、ホシイ」

「どんなコかしら?」

「ワタシニ、ヨクニタ、チイサナ、カワイイ、オンナノコヲ、タクサン」

「分かったわ」

 動く人形は、体を作って命を吹き込む事で新しい人形が出来上がる。

 結婚したり性的関係を持たなくても、子供が欲しくなったらいつでも作られるのだ。


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