投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

エリザベス・悲劇の人形たち
【ファンタジー その他小説】

エリザベス・悲劇の人形たちの最初へ エリザベス・悲劇の人形たち 21 エリザベス・悲劇の人形たち 23 エリザベス・悲劇の人形たちの最後へ

エリザベス・悲劇の人形たちW-3

「アンタって、今まであちこちの家庭に飼われていたみたいだけど…
 何もしなくて、ただ遊んで暮らしていただけじゃないの?
 しかも今みたいに、贅沢三昧やっていた。
 そうよね?」

「ソンナ事、オ前ニハ関係ナイ!」と、エリザベスは一喝した。

 グロリアスは話しを続けた。

「アンタの極端な贅沢思考と、自己中心的で傲慢且つワガママのせいで、殆どの人たちから嫌われてしまっている」

「ソンナ事ハナイ。
 私ハ、気品溢レル高級人形トシテ、大変尊敬サレテイル」

「尊敬されている高級人形が、どうして…あちこちの家庭で厄介者扱いされていたのかなぁ?
 飼い主はみーんな、口揃えて言ってたわよ。
 …エリザベスは美しい人形だけど、やたら金がかかる。…ってね」

 目を見開いたままのエリザベスは、体を震わせていた。

 プライドを傷付けられたからだろう。

 許せない!

「オ黙リナサイ!」

「それにエリザベス、他の人形の子供たちを平気で殺した事もあった。
 …そうよね?」

「ソンナ事ハ、私ハ知ラナイ」

 カッとなったグロリアスは檻戸を力込めて強く足蹴りした。

 エリザベスは驚いて、泣きそうな顔をする。

「惚けるんじゃないわよッ!! アンタの事は全部、調べてるんだよッ!!
 それぞれの家庭での生活態度、人形としての振る舞いとか色々とね!!」

 グロリアスの一喝するような強い口調に、エリザベスは震え出す。

「ヤッテナイワァー」

 そしてとうとう、メソメソ泣き出した。

「やってないなんて言わせない」

「ヤッテナイ! ヤッテナイ! ヤッテナイ!」

 エリザベス、さっきまでの威勢はどこへやら。

 子供みたいに足をバタバタさせ、ワァーワァー泣くばかりである。

 自らを偉く見せたがる割には、意外と臆病な人形…それがエリザベスなのだ。

 グロリアスは怒りを込めた表情でエリザベスを睨み付けた。

「姉が倒れたのも、アンタのせいだって事は分かってるのよ」

「ア、アレハ…」

「これも知らないなんて、言わせない。
 姉に対して取ったアンタの冷たい行動に比べたら、子供人形の1人や2人の犠牲になんて軽いもだわ」

 こう断言するグロリアスは自らの腹の内を見せた。

 エリザベスに対する激しい怒りで、腸が煮えくり返るグロリアス。

 マルセルが倒れたのは、エリザベスが原因だって事は分かっている。

 まだ意識は回復していないマルセルから直接、話しを聞き出す事は出来ないけれど…

 知り合いの聖導士が得意とする霊査で、相手の魂から間接的に聞き出せる事は可能だった。


エリザベス・悲劇の人形たちの最初へ エリザベス・悲劇の人形たち 21 エリザベス・悲劇の人形たち 23 エリザベス・悲劇の人形たちの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前