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無味乾燥
【ショートショート その他小説】

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ノスタルジー・アンゴワス-4

太陽は沈みつつあるちょうど黄昏時。風に吹かれ、鯉のぼりは気持ち良さそうにオレンジ色に染められた空を泳いでいた。

鯉のぼりの数が年々減少傾向にあるのだという。少子化の影響などといわれているか、その理由の一つとして鯉のぼりをあげるとその家に幼児がいるとわかってしまうからだ、と聞いた。子供の事件が多発してるがゆえその防止策らしい。それを聞いたとき、私は嫌な時代になった、と思った。

『夕方ノスタルジア』

昭和の後半から平成の最初の時代。子供の日にはどの家庭にも鯉のぼりが泳いでいた。もちろん、私の子供の時にも鯉のぼりは空にいた。小さかったが……。それでも当時の私にとっては嬉しかったし、大きい鯉のぼりをもっていれば尊敬に値していた。

だが、時代は移り、大きい鯉のぼりを持っていることが当たり前になり、こんどは減りつつある。子供達を犯罪から守るためらしい。

しかし、こんな殺伐とした時代だからこそ鯉のぼりをたくさんあげるべきだと思った。そんな子供の日の夕暮れ。

End


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