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希望の愛
【二次創作 恋愛小説】

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希望の愛-4

扉を開けるとそこは保健室とは思えない人の数だった。順番待ちをしてる人も何人かいた。僕は最後尾にならび痛みと格闘していた。僕が並んでから3人目の治療―絶対に自分でできるような―を終えて小嶋さんは僕に気付いた。
「あらー、希望君。やっと来てくれたのー?」
一気に視線が僕に集まる。視線というか殺気であるが。
「せんせー、早くー」
治療中の人がわざとらしく声を上げ、小嶋さんはその子の治療を再開した。
先ほどの殺気で足の痛みも少し軽くなった気がした。

家事が何もできない小嶋さんの治療を見る余裕ができた。素人でもできる作業とはいえ、さすがに手際はよかった。
その生徒は太ももが痛いと言って小嶋さんはズボンの上から太もものあたりを触った。
―おい、あの野郎はどこ触らせてんだ……?―
怒りが沸々と込み上げてきた。


僕の番も無事にきて治療はやってもらった。終わったときに小嶋さんをにらみつけたが、小嶋さんは不思議そうに首をかしげるだけだった。

「おーい、帰ってきたぞー」
休憩していた部員の誰かがみんなに伝えるような大声を出した。
―ひょっとしておれのことを心配してくれて……?―「渡辺ー!」
みんなが一斉に走ってきた。
「おい!渡辺!」
「はい、ケガなら大丈夫です。心配おかけしてすい」「愛先生と何があったんだ!?」
照れながら話す僕に先輩や同級生が問いかけてきた。「え?」
「え?じゃねぇ!愛先生と何があったっつってんだ!お前に対してだけ待ってたのよとかおっしゃったそうじゃねぇか!」
やっとわかった。小嶋さんのことを言ってるようだ。まさかルームシェアをしてるなんて言えるはずがない。言った瞬間に保健室では済まない事態になりそうだ。
「いや、だから」
いい言い訳はないかと頭をフル稼働した。
「小嶋さ……先生とは」
「危なーい!」
ごんっと音がして目の前が真っ暗になった。



―すごいきれいだ……―
僕は今白い霧が深くかかった場所にいて、目の前は様々な花が咲いていた。その中から1人誰かが歩いてくる。ゆっくり、ゆっくり………

「!?」
誰かに手を握られてるように感じて驚き飛び起きた。「……希望くん?」
「小嶋さん……?」
どうやら保健室の中のようだった。そしてベッドの上にいるようだ。そういったことを把握してやって小嶋さんと手を握り合ってるのに気付いた。
「うわっ!?」
僕は勢いよく手をひいた。「希望くんが手を出してなんか言ってるから不安で握ってたのよ?」
小嶋さんが必死でそう言った。そうだ、夢の中の人は小嶋さんで抱きしめようと手を伸ばして必死に小嶋さんと呼んでいたのだ。
「いや………ありがとう。おれどうしたの?」
「野球のボールが頭に直撃して気を失ったそうよ。米沢くんが運んできてくれたわ」
「あ、そうだったんだ」
「校医なんだから当然でしょー」
「あれ、で米沢先輩は?あと仮病人連中は?」
「米沢先輩はあなたを私に預けたら帰っていったわ。みんなはとっくに帰ったわよ」
やはり米沢先輩は小嶋さんに媚びるような薄汚い人じゃなかったんだ……。一生ついて行こう。 ん?
「とっくにって?みんな小嶋さんに飽きたのかな?」そんなわけはないと思って言ってみる。


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