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希望の愛
【二次創作 恋愛小説】

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希望の愛-1

「ごめんね、置いて行きたくはないんだけど、どうしても仕方ないのよ」
母さんは僕に申し訳なさそうな口調で言ってるが、どこか開き直った感じに聞こえる。
「まぁ、イギリスだから大丈夫だろ」
何が大丈夫なのか全くわからない。僕は父さんと母さんと暮らしてきた普通の家庭だ。父さんが急な転勤によりイギリスに行くことになったのだ。単身赴任にも関わらずいい年とし熱々な両親は2人そろって行くと言い出した。僕も連れて行くという考えはないのかと聞いたらせっかく努力して入った高校なんだから通いなさいということだった。そして、なんと僕は引っ越さなければならないらしい。
「1人にさせたら何しでかすかわからんからな」
とのことだ。だったら母さんまで行かなければいい話だろ、など言えない。
このあたりには身内も特にいないので行くあてなどないと思った。そこに明日連れて行ってもらうことになった。ことごとくサプライズ好きな両親だから何があるかわからない………。
「いや、意味わかんねぇよ!」
僕の目の前には大きめの一戸建てがある。
「いい策だと思うんだが」「そうよねぇ」
両親はノリノリだ。
早い話がルームシェアだ。高校生なりたての息子に自分たちの幸せのため、こんなことをさす親なんて考えられなかった。
「もう申し込んであるからな」
「頑張るのよ。あと3日はこっちにいられるから楽しみましょ」
こんなプライバシーもないような生活なんて考えたくなかった。しかし、断っても行くあてがないので仕方なく、本当に仕方なくルームシェアをすることにした。
「うちの希望がお世話になります」
3人で挨拶をすることにした。部屋は5部屋あり、2部屋空き家で1部屋は僕が住む部屋だ。
しかし部屋に人がいたのは一部屋だけだった。小野夕陽さんという大学3年生の男の人だった。あとは小嶋愛さんという人とクラウディアさんという人がいるらしい。2人とも女性だ。小嶋さんは僕より後に来るそうで、クラウディアさんは海を渡って日本研究に励んでいるということでなかなか帰ってこないらしい。小野さんはルームシェアなのにほとんど1人で住んでいたというわけだ。
「ではお願いしますね」
たった1人だけに挨拶して両親は帰った。僕は少し家具などの準備をして帰った。

そして、両親は飛び立った。と、同時に僕の新生活が始まる。ルームシェアもだが高校もあまり知り合いがいないので慣れるのに苦労しそうだ。
しかし、高校ではみんないい人ばかりで楽しかったし、ルームシェアも小野さんしかいなかったので楽だった。
家に帰るとリビング(台所がありいわゆる共同スペース)に大きな荷物があった。ちなみに、家の構造は玄関を出るとすぐにリビングがあり、さらに進むと廊下があり5つの部屋がある。その荷物に見覚えはなかったので小野さんのかと思って放っておいて部屋に帰ろとする。僕の部屋は一番奥にある。だから全ての部屋の扉の前を通る。そこで気付いたのだが、小嶋さんの名札が扉に着いている。今日の朝にはなかったので、僕が入学式に行っている間に来たのだろう。ということはあの荷物は小嶋さんのか。特に邪魔でもなかったのでそのまま通りすぎた。制服から着替えて、しばらく携帯をいじる。初日にして随分とアドレスを交換した。嬉しいことだった。また退屈しないようにと両親からはパソコンやDVDプレイヤーをもらっていたのでそれらで楽しんだ。全てが上手くいっていたのでルームシェアも悪くないかなと思った。

夜になり腹も減ったので部屋から出て夕食をつくりにかかった。料理はできる方だった。特に上手いわけでもないが、家事は全般的によくこなす。
初日なので手をこんだカレーをつくった。しばらくしていい匂いが充満してきた。
「あらー、やっとご飯?」のんびりとした可愛らしい声が後ろからした。見たことない女性だったがとてもきれいだった。


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