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遠い春
【フェチ/マニア 官能小説】

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遠い春-4

「先生、受かっちゃった」、私は茶目っ気をにじませてそう切り出した。「ほら、言った通りだろ?」「今日はお尻は叩かれないよね?」
「M子、先生と生徒の関係はもう終わりだよ。俺はいままでM子を半人前として扱ってきたけど、M子は初めて自分の力で自分の人生の扉を開けたんだ。おめでとう」。私は妙に淋しくなった。ずっと忘れていた少女時代からの淋しさだった。「先生は就職に失敗したから、1年留年して東京で就活することにしたんだ。ここじゃ職も情報も少ないからね。M子は大学で、いいカレシでも見つけろよ」。先生は自分の気持ちと戦っている気がした。先生と生徒の関係はもう終わり、その一線を踏み越えたい気持ちは私にも、そして先生にもあるはずなのに、その一本の線を挟んだまま二人で向かい合っている。「先生こそ、カノジョは難しいかもよ」、私は必死に明るく返した。この人はほんとうに私の先生だと思った。

 私たちは大通公園に出た。3月の札幌はまだまだ寒い。私たちは端から見ればどこにでもいる若いカップル、でもじつは、お仕置きだけを通して深く繋がった、ちょっと切ない不思議なカップルだった。


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