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西森自己満ラジオ
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西畑自己満ラジオ裏 〜アシスタント長峰の憂鬱〜-2

私がいなくても、収録はすすむんだな。
自動販売機でオレンジジュースとカルピスを買って、控え室に戻る。
控え室からは、楽しげな笑い声が聞こえてきた。
不思議に思いながら中に入る。すると、由紀ちゃんが桜ちゃんとお腹をくすぐりあっていた。
というより、ほぼ一方的にくすぐられている。
「アハハハ、参った、お姉ちゃんの降参」
「わーい、勝った」
由紀ちゃんは涙を吹きながら、私に気付いて会釈をしてくれた。どうやら、くすぐりの余韻でまだ喋れないようだ。
「おはようございます。もう、みんなスタジオで打ち合わせしてますよ」
「え、えへはは。本当に!? やばいな。じゃあね、桜ちゃん。また、あとでね。次は負けないぞぉ〜」
「バイバイ」
桜ちゃんは笑顔で由紀ちゃんに手を振る。
すごい。
私が戻ってくる、わすが数分の間に、二人は打ち解けていた。
それにくらべ私は……。
「桜ちゃん。はい、これでお絵描きしよう。あと、オレンジジュースとカルピスどっちが好き?」
「オレンジジュース!!」
缶を開けて、桜ちゃんの前においてあげる。私も、カルピスを開けて一口飲んだ。
「ねぇ、これ全部、長峰お姉ちゃんがかいたの?」
スケッチブックをめくりながら、桜ちゃんが問い掛けてきた。
「そうよ。全部私が描いたの。下手っぴだよね」
「うーうん。とっても上手」
「ありがとう」
局の屋上から、ビル群に沈んで行く、夕日の絵。
桜ちゃんはその絵が気に入ったのか、じっくりと眺めている。
「その絵、気に入ったの?」
「うん」
桜ちゃんの目がキラリと輝いた気がした。
「じゃあ、桜ちゃんにあげるよ」
「いいの?」
「いいよ。あとで切り取ってあげるね」
「わーい。ありがとう」
「うん。さ、桜ちゃんもお絵描きしようか」
「うん!」
桜ちゃんは色エンピツをたぐりよせ、スケッチブックの白紙のページにお絵描きを始めた。
○、△、□。
どんどんスケッチブックは埋まっていく。
私はそれを見るともなしに見ていた。
今頃、収録が始まっているだろう。
私、抜きで。
私の仕事は、台本をコピーしたり、コーヒーを淹れたり、カンペを書いたりするぐらい。
全部、私じゃなくても出来る仕事。
さっきだって、宮下さんが西さんのコーヒーを淹れていた。
私が淹れるようになってから半年と少し。最初は、濃いだの薄いだのぬるいだの、色々ダメ出しをうけた。
西さんは優しいから全部飲んでくれたけど、ダメ出しを生かして、改善を重ね、最近はダメ出しは受けなくなった。
でも、西さんはさっき宮下さんが淹れたコーヒーをなんの不満もなく、なんだったらいつもより飲むスピードが早い気がする。
私がくる前には、宮下さんがアシスタントだったと聞く。
私よりも上手く淹れる事ができて当然なのだ。
だったら、毎回、宮下さんがコーヒーを淹れればいい。西さんもそれのほうが、美味しいコーヒーが飲める。


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