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【私のビョーキ】
【ショタ 官能小説】

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【私のビョーキ】-13

「ちがうんだ。だって、俺、明日には父さんのところ行かないといけないんだもん」

「え? だって、お母さんと……」

「ベンゴさんっていう人がきてさ、お母さんは仕事で大変だからって、お金が無いからって、だから俺、お母さんと一緒にいちゃダメなんだって。父さんのところに行かないといけないんだって。そしたらユッキーに会えなくなる」


 ビニール傘は小さいけど、アッキーとなら寄り添っていれば濡れることも無い。
 学校にいても他の生徒の目があるし、それに拭いたといってもまだ濡れたままのアッキーをそのままにしておけない。

 で、話を纏めるとこうだ。
 アッキーの両親はいわゆるすれ違いの冷めた関係をもとに、協議離婚をしたらしい。
 最初はお母さんが彼を引き取ることにしたらしいけど、パートで生計を立てるのは難しく、父親側の養育費も親権を譲渡しないならと、法で定められている最低限しか払わなかったらしい。
 アッキーが父親と一緒に住むことで、母親は養育費の免除、一人分の出費、ついでに慰謝料と息子に会う権利を与えられるとのこと。
 見た目のわりに、意外と狡猾な人なんだと思う。

 でも、アッキーは可哀想だと思う。
 いじめっ子たちに怯えて、公園で一人寂しく過ごしていた。トイレに隠れて大人をやり過ごした。んーん、家にいても一緒でしょ? 離婚するようなお父さんもお母さんだもの、きっと……。

「ねえユッキー、ゴメンね、勉強の邪魔して」

「いいの。アッキーには内緒だったけど、もう推薦で入学できちゃうんだよね」

 県外の高校を受験しないのかと聞いてきた理由も想像がつく。私も一緒に転校すればって思ったんだろうな。でも、県外を受けたとして、彼の移り行く場所に行くなんて無い。まったく子供らしい希望だわ。

「ねえ、何時行くの?」

「明後日」

「そう。だから今日来たんだ」

「うん。本当はお父さんと荷物整理しないといけないんだけど、勝手口から逃げてきた」

 逃げでしかないかもしれない。けど、それも抵抗なんだ。勝手な大人達にたいする小学生なりの精一杯の抵抗。
 小さな身体で必死に我慢して、それでも私に会いに来てくれた。
 私はやっぱりバカだ。だって、こんなに自分を慕ってくれる子を気持ち悪いなんておもうなんてさ。
 男だからとかじゃなくて、彼は一人なんだ。アッキーっていう、一人の人間なんだ。

「ねえ、公園よって行こう」

「だって、雨だよ?」

「いいじゃん。それに明日会えるかわからないんでしょ?」

「そっか、うん。行こうユッキー」

 アッキーは傘を持つ私の手を握って急かす。
 冷たい手なのに力を感じる。それに熱い。温かい。


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